ケモカインの一種であるRANTESは、モノサイトやT細胞の遊走因子であり、免疫反応の様々なプロセスに関与している可能性がある。こめRANTESが、腎障害の発症や進展にどのように開与しているかを調べるため、われわれはRANTES適伝子欠損マウスを作成し、既存の実験賢炎の起こりやすさを検討した。抗糸球体基底膜抗体腎炎においては、RANTES欠損マウスの腎組織病変は、野生型における組織変化とほとんど変わらなかった。 次にわれわれは自己免疫性組織障害におけるRANTESの役割を調べるために、RANTES欠損MRL-Fas lprマウスを作成した。RANTES欠損MRL-Fas lprマウスにおいては、野生型MRL-Fas lprマウスに比べて脇窩リンパ節が著明に腫脹していた。フローサイトメトリーの解析では、CD4(-)かつCD8(-)の、いわゆるダブル・ネガティブT細胞の割合が著しく低下していた。組織標本のイメージアナライザーによる解析では、肺の気管支周囲組織への炎症性細胞浸潤が著明に低下していた。野生型の肺組織にはRANTESのmRNAの表出が確認された。その一方、生存率や腎の組織変化はRANTES遺伝子の有無により有意な差がなかった。RNTESは肺病変に関与するが、その役割は腎組織では肺と異なるようである。RANTES欠損マウスを用いた研究は、臓器特異的な自己免疫性組織障害の機序を明らかにする上でも役立つかも知れない。
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