研究概要 |
平成12年度は、基礎的検討として、培養尿細管細胞及び急性腎不全ラットを用いて、cyclin,CDK等の細胞周期関連の遺伝子および蛋白の発現と調節について検討した。Rb,WT,cyclinD,cdk4,cdk6,p21、p16,p27等の遺伝子と蛋白の発現、リン酸化などを検討し、尿細管細胞の細胞周期のメカニズムの解明を行なった。尿細管細胞の細胞周期の調節メカニズムを明らかにし、数多く存在する細胞周期調整遺伝子のなかでどの因子が、尿細管細胞の増殖調節に重要な役割をしているかを絞りこんでゆく。同様の方法で急性虚血後の急性腎不全ラットを用いてcyclinD1,D2,D3,cdk4のNorthern blotと、特異的抗体を用いたWestern blot,およびimmunoprecipitationにてkinase assayを検討をし、現在論文を投稿中である。 またANP,CNP及びそのsecond messengerであるcGMPが、cyclin Eの転写活性を低下させることにより、腎細胞での細胞周期抑制を引き起こすことを報告した。 上記の研究で得られた情報に基き尿細管細胞の細胞周期および増殖の調節をより詳細に検討するため、cyclinD,cdk4,cdk6,p16,p21,p27などの特定の遺伝子をアデノウイルス等を用いての導入し、あるいはantisense法にての発現抑制、特定の蛋白あるいは抗体をmicroinjectionして尿細管細胞の細胞周期の詳細な検討をおこなう。これらの方法により従来不明であった尿細管細胞の細胞周期および、増殖の調節のkey factor(s)を絞り込むことが可能になると思われる。特定の遺伝子をアデノウイルス等を用いての導入については、基礎的検討で、尿管からアデノウイルスを導入する方法を開発し発表した.
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