腎細胞(MDCK細胞)、腹膜中皮細胞を用い、浸透圧依存性アポトーシスについて研究を行った。MDCK細胞では700mOsm負荷8時間後より遊離細胞の割合が増加し、24時間後には約40%が遊離細胞であった。24時間後の付着細胞の12%がTUNEL陽性を示した。caspase-3酵素活性は700mOsm負荷8時間後より有意に増加し、24時間後には300mOsmの条件で培養した細胞の約20倍に増加した。1mMベタイン添加によりこのcaspase-3酵素活性増加は50%抑制された。これに対しcaspase-1酵素活性は高浸透圧負荷により有意な変化を認めなかった。腹膜中皮細胞は腹膜透析時に高浸透圧環境にさらされることからラット腹膜中皮細胞を用いて高浸透圧依存性アポトーシスを検討した。高浸透圧メディウムに置換し4時間後にはDNA合成は浸透圧依存性に抑制された。メディウム中のLDH活性は4時間までコントロールと差はなく8時間後に有意に増加した。700mOsmでは4時間後にはcaspase-3、caspase-9活性化が認められ、700mOsm8時間後にはcaspase-8の活性化、TUNEL陽性細胞が認められた。高浸透圧によりミトコンドリア膜電位の低下が認められ、caspase-3、caspase-9が早期に活性化されることより高浸透圧ストレスではミトコンドリア障害よりcasspase-9、caspase-3の経路によりアポトーシスが誘導されると考えられた。
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