研究課題/領域番号 |
12671041
|
研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
川端 雅彦 島根医科大学, 医学部, 講師 (70291466)
|
研究分担者 |
高畠 利一 島根医科大学, 医学部, 教授 (60111762)
|
キーワード | 食塩感受性 / 腎血行動態 / 高血圧 / 糸球体濾過値 / ネフロン / 傍糸球体装置 / 尿細管糸球体フィードバック / ラット |
研究概要 |
ヒトの食塩感受性高血圧のモデル動物であるDahl食塩感受性(Dahl-S)ラットを、正常食塩食(食塩0.3%含有)あるいは高食塩食(同4%含有)で1〜3週間飼育した後、チオペンタール麻酔下でクリアランスと腎微小穿刺実験を行った。 1)高食塩食下のラットにvasopeptidase阻害薬(BMS-186716、4mg/kg)を静注した。BMS投与により、血圧は22mmHg下降、糸球体濾過値(GFR)はO.75から0.65ml/min/g腎重量へと減少、腎血漿流量は不変、腎血管抵抗は下降傾向、尿中Na排泄率と蛋白尿はともに減少した。単一ネフロンのGFR(SNGFR)は薬剤投与前後で変化はなかった(35vs.33nl/min/g腎重量)。人工尿細管液にてヘンレ係蹄を60nl/minの速度で順行性に微小灌流すると、非灌流時に対するSNGFRの減少率は、薬剤投与前後で同程度であった(25vs.21%)。すなわち、尿細管糸球体(TG)フィードバックの反応性はBMSの影響を受けなかった。 2)正常食および高食塩食ラットの尿細管腔内に、NO合成酵素阻害薬(Nitro-L-Arginine、10^<-3>M)を60nl/minの速度で微小灌流した。非灌流時に対する糸球体内圧の減少率は、正常食塩食ラットでは薬剤により強く増強されたが(19vs.34%)、高食塩食ラットでの影響は小さかった(16vs.23%)。 結論:高食塩食下のDahl-Sラットにvasopeptidase阻害薬を投与すると、全身の降圧作用とともに輸出細動脈が拡張して、糸球体内圧の下降によりGFRと蛋白尿が減少する。前年度の報告のように、TGフイードバック反応は高食塩食下のDahl-Sラットでは明らかに抑制されているが、これに対するvasopeptidase阻害の影響はみられない。繊密斑のNO系の作用はむしろ高食塩食により減弱しているものと考えられる。
|