研究概要 |
1.単離尿細管でのNa輸送測定系の構築 新たな研究分担者の技術習得を兼ね、アイソトープを用いた、Na輸送の微量測定系を整備した。この際の成果の一部は、裏面に記載した論文に組み入れた。 また今後22Naの入手が困難になることが予想されるため、アイソトープに替わり色素吸光度法を用いた測定系(NanoFlo)への切り替えを検討中である。 2.集合尿細管でのオキシトシン作用の検討 バソプレシン作用におけるオキシトシン受容体の関与の検討を進めるに当たって、まず、すでにオキシトシンが作用することを確認している単離灌流ウサギ皮質部集合尿細管を用いて特異的オキシトシン作用を計測できる実験系の確立を目指した。 基底膜側オキシトシンは10^<-11>〜10^<-8>Mの濃度で経上皮電位を変化させることが確認された。この電位変化は基底膜側バソプレシンV2受容体作用ときわめて類似しているため、尿細管上皮の水透過性の変化を測定したところ、軽度の透過性亢進がみられた。更にこの電位変化は選択的オキシトシン受容体刺激薬(Thr,Gly-oxytocin)で再現できず、V1受容体拮抗薬で抑制されなかったことから、V2受容体を介する反応と考えられた。このオキシトシンによる電位変化がオキシトシン受容体拮抗薬によって抑制されるという他施設からの報告があり(Inoue T,et al.A m J Physiol 265:F487,1993)、結果が一致しない。 なお我々はすでにオキシトシンがこの尿細管部位で管腔側オキシトシンの作用はV1受容体依存性であることを確認している。よって現時点では、ウサギ皮質部集合尿細管でのオキシトシン受容体の固有作用が確認できていない。
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