研究概要 |
透析患者におけるDW設定の指標としては、1.心胸郭比(CTR)、2.下大静脈径(IVC)、3.心エコー図(UCG)、4.心房性Na利尿ホルモン(ANP)、5.蛋白濃縮率(PWI)、6.持続ヘマトクリット測定装置(クリットライン)などがある。我々は、過去3年間これらの指標の(1)経済性、(2)数量化、(3)検査時間、(4)検査労力、(5)影響因子、(6)単独指標の可否などを評価項目として評価してきた。その結果、経済性、数量化・検査時間を考慮するとCTRと蛋白濃縮率(PWI)が最も優れており、これらの指標を中心としたDW設定が容易であるという結論を得た。その方法としては、それぞれの検査の特性を理解して紅み合わせることが重要である。 我々は、透析前後の蛋白濃度を測定し、その時の体重変化から、循環血漿量変化率(%,ΔCPV)と体重変化率(%ΔDBW)から、PWI(Plasma-water index)=%ΔCPV/%ΔDBWとして求め、透析中の循環動態との関連を検討してきた。その結果、循環血液量の変化は、低Na血症、低蛋白血症など循環血液量の変化速度が特殊な状態になるものを除けばほぼ直線的で、PWIにて代替することが可能であることを明らかにした。そこで、PWIを用いてDW設定の指標を作成してみた。 蛋白濃縮を中心としたフローチャートである。 I)PWI<2.0 1)血圧安定→DWを下げる、2)血圧低下→血圧低下はDW設定以外の原因 II)PWI2.0-4.01)血圧安定→DW適性、2)血圧低下→血圧低下はDW設定以外の原因 III)PWI4.0以上DWを上げることを検討する 使用上の注意点:1.この方法には理論的根拠は無い。2.PWI基準は、通常の透析で、3-4時間の場合であり、長時間透析や他の特殊透析法では異った基準が必要となる。3.使用する透析液、透析方法によっては基準は異る。4.体重増加量が1.0kg以下では、PWIは不正確となる。5.シャント血流の再循環があるときには、PWIが6.0以上と異常に高値となる。6.低Na血症、低蛋白血症、造影剤使用、透析膜不適合では、循環血漿量が透析開始初期に低下する。この現象は、クリットラインの装着以外に予想する方法は無い。
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