慢性維持血液透析患者は、高齢者、糖尿病患者の増加にともない、透析困難な透析患者を対象として日常臨床を行わなければならなくなってきている。臨床家としてこれらの患者を管理する上で、ドライウエイトの設定、除水速度の設定は苦慮するところである。しかし、ドライウエイトの設定は、心胸郭比などといったある一つの指標のみでは決定できず、透析前後の心房性Na利尿ペプチドの値、心エコーでの左心房径、下大静脈径など様々な指標が提唱されている。しかし、未だに確個たるフローチャートが作成されていないのが現状である。 そこで、今回の我々の研究の目標は、ドライウエイト設定へのアプローチ方法とフローチャートの作成、および、その臨床的根拠の検討である。ドライウエイト設定にあたっては、循環血液量の変化を知ることが重要で、その結果plasma refillingを予想することが可能となる。さらにこのplsama refillingを規定する因子を明らかにすることによりここの患者の循環動態の特性を予想することができる可能性が強い。 我々は、透析前後の蛋白濃度を測定し、その時の体重変化から、循環血漿量変化率(%ΔCPV)と体重変化率(%ΔDBW)から、PWI(Plasma-water index)=%ΔCPV/%ΔDBWとして求め、透析中の循環動態との関連を検討してきた。その結果、循環血液量の変化は、低Na血症、低蛋白血症など循環血液量の変化速度が特殊な状態になるものを除けばほぼ直線的で、PWIにて代替することが可能であることを明らかにした。そこで、PWIを用いてDW設定の指標を作成してみた。 蛋白濃縮を中心としたフロチャートである。 I)PWI<2.0 1)血圧安定→DWを下げる、2)血圧低下→血圧低下はDW設定以外の原因 II)PWI2.0-4.0 1)血圧安定→DW適性、2)血圧低下→血圧低下はDW設定以外の原因 III)PWI 4.0以上DWを上げることを検討する
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