アンジオテンシンII(AII)は細胞外基質のリモデリングの調節において重要な役割を果たすことが示されている。本検討ではAIIの1型受容体(AT1)および2型受容体(AT2)が細胞外基質の重要な構成成分であるプロテオグリカン産生に与える影響を検討した。。in vitroの検討ではAIIがAT1受容体を介して培養血管平滑筋細胞(VSMC)のプロテオグリカン産生を濃度および時間依存性に増加させることが示された。プロテオグリカンをDEAE-Sephacelで分離した結果、CS/DSPGならびにHSPGに相当するピークの増強を認めた。またノーザンブロットではバイグリカン、パールカン、バーシカシmRNAの有意な増加を認めた。AIIによるプロテオグリカン産生亢進作用はチロシンキナーゼ抑制剤EGFR抑制剤およびMEK阻害剤により有意に抑制された。一方、AT2受容体のみを刺激するとプロテオグリカン産生が増加したが、その作用はチロシンキナーゼ抑制剤およびMEK阻害剤に抑制されなかったが百日咳毒素により抑制された。In vivoの検討ではSHRSPラットにARBを投与した結果、SHRSPラット腎におけるバイグリカンとデコリンのmRNA発現の減少、バーシカンのmRNAの増加を認めた。以上より、AT1とAT2受容体が複数の機構により各種プロテオグリカンの発現調節に関与していることがin vitroおよびin vivoの成績より示唆された。
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