研究課題/領域番号 |
12671049
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60129608)
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研究分担者 |
吉田 理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00306713)
力石 昭宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60286474)
小林 一雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00280636)
吉田 範子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20286488)
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キーワード | NFκB / 実験腎炎 / アデノウィルス / 近位尿細管 / IκB / 間質障害 |
研究概要 |
(1)抗メサンギウム細胞一本鎖モノクローナル抗体の開発とイムノジーン法の確立 メサンギウム細胞に対する一本鎖抗体を作成するために、ラットおよびヒトメサンギウム細胞を用いてBalb/cマウスに免疫し、その脾臓mRNAからファージ提示型一本鎖抗体遺伝子ライブラリーを作製した。現在、二次スクリーニング中であり、特異性の高い抗体は現時点で得られていない。 (2)腎障害モデルラット近位尿細管細胞への変異IkBcDNAの導入とその効果 腎障害モデルとしては、アルブミン負荷ラットに対して、NFκBを不活性化するような変異IκBを組み込んだアデノウィルスの投与を行った。変異IκBの発現によりアルブミン負荷ラットの近位尿細管でのNFκB活性化は、このウィルス投与により完全に予防されることが明らかとなった。この結果を踏まえて、Thy1.1腎炎モデルにおいて同様の検討を行ったが、現時点で未だ研究続行中であり、統計的解析にいたっていない。またCTLA4IgGを組み込んだアデノウィルスを同時投与してその効果も検討中である。また、本研究から、尿細管間質のNFκB活性化を抑制することが腎障害進行を抑制しうることが示されたことから、薬剤でのNFκB抑制を目的として、tranilastを用いて、その効果を検討した。Tranilastは、培養メサンギウム細胞においてNFκB活性化によるMCP-1産生増加を有意に抑制し、遺伝子治療とともに腎障害進行抑制に応用しうる可能性が示唆された。 近位尿細管特異的プロモーターを利用するために、ビタミンD-1α-水酸化酵素のプロモーター解析を行い、マウスでは転写開始点上流105base以内にLLC-PK1細胞でのみ発現を亢進させるような領域が存在することが示された。さらに領域を狭めて解析した結果、TCF-1結合領域とよばれる部分がこの細胞系列において同酵素発現に極めて重要な働きを示すことが明らかとなった。現在、この領域に結合する蛋白分子を同定中である。
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