酸素ラジカル消去酵素遺伝子の過剰発現によるメサンギウム細胞形質転換の抑制

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12671056
• 研究機関: 愛知医科大学
• 研究代表者: 山田 晴生 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70230472)
• 研究分担者: 足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (40137063) ; 宮井 宏暢 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70190733) ; 普天間 新生 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (80173508) ; 佐久間 正人 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90257684)
• キーワード: Superoxide Dismutase / Mesangial Cell / Oxygen Radical species / Monoclonal Antibody

研究概要

<はじめに>
我々は、腎糸球体メサンギウム細胞で活性酸素消去酵素が発現した際の細胞の機能変化について検討を重ねた。はじめに、細胞外で酸素ラジカルより細胞を防御する役割を果たしているExtracellu lar-Superoxide Dismutase(EC-SOD)についてメサンギウム細胞が自ら産生していることを確認した。更に、さまざまな刺激によりその産生が変動することが明らかとなり、腎炎に伴うメサンギウムの機能変化がEC-SODの産生と密接に連動していることが確認された。
<EC-SODのアミノ酸配列を認識する抗体の作成>
次にこの変動をin vivoで確認し、メサンギウム細胞で遺伝子を発現させた際の指標とするためEC-SODのアミノ酸配列を認識するモノクローナル抗体を作成した。ヒト・ラットのEC-SODをマウスに免疫し、脾細胞のHybridomaより得られたモノクローナル抗体が10 Clone得られた。その抗体について、その抗原認識部位を遺伝子工学的に大腸菌に発現させた蛋白のDeletion Mutantを利用したWestern Blotting法で確認した。その結果、いくつかの抗体はヒト・ラットいずれのEC-SODをも認識する抗体であり、両者の共通のアミノ酸配列を認識していることが明らかとなった。
<抗体の応用>
現在、この抗体の特性、特にEC-SOD中和活性との関連を検討している。この抗体を免疫組織化学に用いることによって組織内のEC-SODの分布をより正確に知ることが可能となった。現在、様々な腎炎モデルにおいて、糸球体で発現するEC-SODを検討中である。

研究成果

• [文献書誌] Harutaka Yamada,Yasukazu Yamada Atsushi Fukatsu,Naoto Miura Takanari Aoki,Arao Futenma Shinichi Kakumu: "Polymorphism of Werner helicase-Associate gene in Long-Term hemodialysis patients"Nephron. 86・543. 543-544 (2000)
• [文献書誌] Harutaka Yamada,Yasukazu Yamada Tetsuo Adachi,Atsushi Fukatsu Masato Sakuma,Arao Futenma Shinichi Kakumu: "Protective role of Extracellular superoxide Dismutase in Hemodialysis patients."Nephron. 84. 218-223 (2000)
• [文献書誌] 山田晴生,三浦直人,青木隆成,田中芳徳,楊朝隆,佐久間正人,原努,宮井宏暢,深津敦司,普天間新生,各務伸一,足立哲夫,山田裕一: "腎とフリーラジカル-Extracellular Superoxide Dismutase(EC-SOD)遺伝子変異が血液透析患者予後に及ぼす影響-"東京医学社. 3 (2000)
• [文献書誌] 山田晴生,三浦直人,青木隆成,田中芳徳,楊朝隆,佐久間正人,原努,宮井宏暢,深津敦司,普天間新生,各務伸一,足立哲夫,山田裕一: "腎とフリーラジカル-Extracellular Superoxide Dismutase(EC-SOD)の遺伝的多型性-"東京医学社. 3 (2000)
• [文献書誌] 足立哲夫,原宏和,山田晴生,普天間新生,各務伸一: "腎とフリーラジカル-尿中Extracellular Superoxide Dismutase(EC-SOD)レベルとcAMPとの関連性-"東京医学社. 3 (2000)