研究概要 |
(目的)新生児仮死における遅発性エネルギー代謝不全は仮死による脳障害に治療が介入できる可能性のある時期すなわち"therapeutic window"が存在すると考えられている。この時期の脳のエネルギー動態や脳血洗働態を知ることが本症の治療の介入や後遺症の減弱に重要と考えられる。 (対象と方法)生後24時間以内の新生仔豚を文橡とした。低酸素虚血負荷として、吸入酸素濃度を10%で30分、8%で45分間(計75分)行い、同時に頚部に血圧測定用のマンシェットを巻き300mmHgの加圧を行った。脳血流の醜はICGを用いて多チャンネル近赤外分光装置とパルスダイデンシトメトリーを用いて、負荷前、蘇生後3、6,18,24時間後に測定した。脳内エネルギー状態(PCr/Pi)は31P-MRSを用いて負荷前、蘇生後3、18,24時間後測定した。脳組織内pHiは無機リン(Pi)とPCrのchemical shiftで算出した。脳波は連続的に測定した。 (結果および考察)1.蘇生3時間後のPCr/Piは前値の約80%に回復している群と約15%しか示さない2群に分かれた。2.蘇生24時間後の脳内PCr/Piがある程度回復した群とほぼゼロの2群に分かれた。3.蘇生24時間後の脳内PCr/Piがほぼゼロの群では、蘇生6時間以降の脳血流はほとんど認められなかった。4.蘇生24時間後の脳内PCr/Piがほぼゼロの群は、蘇生後の脳波が平坦化していた。以上のことから蘇生6時間以降の脳血流と脳波が遅発性エネルギー代謝不全の指標となる可能性が考えられた。今後は低体温療法や薬物療法等について検討したい。
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