研究概要 |
【IRF-1】 IRF-1+/+,+/-,-/-NODマウスをthyroglobulin(Tg)で免疫し、甲状腺炎(EAT)が発症するかを検討したところ、IRF-1の有無に関わらず、70%以上のマウスがEATを発症した。Tg免疫群ではIRF-1に関係なく抗Tg抗体値が有意に上昇した。IRF-1-/-マウスでは、脾臓のCD8細胞が有意に減少し、また脾細胞からのインターフェロンγの分泌も減少していた。さらにIRF-1-/-マウスでは甲状腺内へのCD8^+T細胞の浸潤を認めなかった。以上の結果はIRF-1がTg免疫によるEATの発症に必須ではなく、またEATの病態形成におけるCD8^+T細胞やTh1反応の役割が小さいことを示唆し、これまでの自己免疫性甲状腺疾患(AITD)におけるこれらの重要性を支持する説とは異なる新しい知見が得られ、IRF-1欠損マウスのAITDモデルとしての有用性が示された。以上の結果は第44回日本甲状腺学会(2001年)で発表された。 【PKR】 ラット培養甲状腺細胞FRTL5を二本鎖RNAで刺激すると、PKRのtargetであるeukaryotic initiation factor 2(eIF2α)のリン酸化が誘導された。また二本鎖RNAによりiκBαがリン酸化され、TNFα同様NFκB(p65)のDNAへの結合が誘導された。以上より甲状腺にもPKRなどの二本鎖RNA誘導性細胞内情報伝達系が存在し、甲状腺細胞の機能の調節やAITDの病態形成に関わる可能性が示唆された。以上の結果はMolecular and Cellular Endocrinology誌上で発表された。
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