バセドウ病での随伴症である眼球突出の成因として、申請者らは球後組織におけるTSHレセプターの発現とそれに対する自己抗体(TRAb)の関与を提唱してきたが、今回本仮説の実証および新たな治療法の開発を目的として、クラスII主要組織適合抗原(MHC/CII)を利用したバセドウ病眼症発症モデル動物の作成を試みた。 先ずMHC/CIIの転写発現誘導因子であるClass II transactivator(CIITA)をクローニングし、FRTL-5細胞にトランスフェエクションし、Northern blotを行ったところ、クラスI主要組織適合抗原には影響がなく、MHC/CII分子が特異的に発現誘導されること、およびTSH-Rは十分量発現していることを確認した。その後、MHC/CII陽性FRTL-5細胞をFisherラットに免疫し、約10週後、免疫・非免疫ラットの甲状腺重量、血中遊離T3等を測定したところ、両者間に有為差が無く、MHC/CII分子とTSH-R分子の共存のみでは、TRAbの産生に不十分であることが判明した。現在さらにcostimulatory moleculeであるB7.1を共発現させたFRTL-5細胞のクローニングを試みており、同様の実験を行う予定である。
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