研究課題/領域番号 |
12671076
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 登代志 山梨大学, 医学部, 講師 (00152017)
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研究分担者 |
志村 浩己 山梨大学, 医学部, 助手 (40303416)
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キーワード | バセドウ病 / サイロトロピンレセプター / クラスII主要組織適合抗原 / class II transactivator / Transgenic rat |
研究概要 |
我々はバセドウ病における眼球突出症の発症には甲状腺外のサイロトロピンレセプター(TSHR)およびTSHR抗体が関与するとの仮説を提唱し、TSHR抗体の産生機序およびこれらの眼球突出症発症における役割を検討すべく、甲状腺にクラスII主要組織適合抗原を強制発現するラット(Tg promoter/CIITA transgenic rat)の作成を試みたが、これのみではTSHR抗体は産生されなかった。そこで、co-stimulatory moleculeであるB7.1を同様にサイログロブリン(Tg)プロモーター下流に結合し、甲状腺でB7.1を発現するTg promoter/B7.1 transgenic ratの作成を行い、これとTg promoter/CIITA transgenic ratを交配させることにより、クラスII主要組織適合抗原とB7.1の両者を甲状腺に共発現するマウスの樹立を試みた。ラット脾臓より得たB7.1cDNAをTgプロモーター下流に結合したpTgP/B7.1を前期胚に導入して得られたF1ラットはNorthern blotにてB7.1mRNAを発現しており、これとTg promoter/CIITA transgenic ratを交配して作成したダブルトランスジェニックラットはRAT1BとB7.1を共発現していた。これらのラットの血清の甲状腺刺激抗体をFRTL5甲状腺細胞を用いて測定したところ、生後16週齢まで陰性であり、体重、甲状腺重量、血中T3値もコントロールと有意な差は認めなかった。また、組織学的にもリンパ球の浸潤等は観察されなかった。以上の結果より、甲状腺にクラスII主要組織適合抗原、co-stimulatry molecule、TSHRが共存するのみではTSHR抗体は産生されないことが判明した。下条らによりクラスII主要組織適合抗原存在下でのTSHR発現細胞の免疫により甲状腺刺激抗体が産生されるとの報告がなされたが、今回の結果はTSHRの抗原提示にはprofessional antigen presenting cellの関与している可能性を示唆する。
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