研究課題/領域番号 |
12671083
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
難波 光義 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (00183533)
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研究分担者 |
浜口 朋也 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60330461)
郡 耕介 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30278832)
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キーワード | Fas / 膵島炎 / 膵β細胞 / NODマウス / 免疫寛容 / 糖尿病 |
研究概要 |
NOD-lpr/lprマウス(Fasの発現を全身で欠いたNODマウス)において、膵島炎および糖尿病が抑制された。この現象における、β細胞特異的なFas欠損の役割を検討するため、NOD-lpr/lprマウスの膵島を、Fasを欠損していないNODマウスに移植する実験を行った。 NOD-lpr/lprマウス(雌)4〜8週齢の膵島を分離、約500個の膵島を、糖尿病発症NODマウス(雌)の左腎皮膜下に移植、その後の血糖の推移を検討した。controlとして糖尿病発症NODマウス(雌)に、3〜5週齢の糖尿病未発症NODマウス(雌)膵島の移植を行った。膵島移植4日後までは移植を受けたNODマウスの血糖値は全例200mg/dl以下に低下し、糖尿病は軽快した。しかし、10日後には、すべてのマウスで再発症した。移植後7日目の左腎を摘出、移植部位の組織像を検討したところ、移植されたNOD-lpr/lpr膵島、NOD膵島ともに、膵島の周囲に多数のリンパ球浸潤が認められ、それらはCD8陽性Tリンパ球であった。すなわち、一旦、膵島炎および糖尿病を発症した時期のマウスでは、移植膵島でFasを発現していなくても、移植膵島に膵島炎が生じ、膵β細胞が傷害されるということである。今後は、膵島炎や糖尿病発症以前のNODマウスに、NOD-lpr/lprマウス膵島を移植し、膵島炎が生じるか、糖尿病が発症するか検討していく。 今回の検討によって、既に免疫応答が起こってしまっている段階では、Fas-Fas ligand systemのみが細胞障害に関与するのではないことが明らかになった。実際に他の細胞傷害機構の関連分子の発現増強が、この系で認められるのか検討を加えた。まず、移植部位におけるperforinの発現を検討したところ、NOD-lpr/lpr膵島の移植部位では、NOD膵島移植部位に比べ、perforinの発現の増強が認められた。このことは、移植部位での細胞障害機構における、perforinの重要性を示唆している。今後、TNF,TRA IL等の分子についても検討を加える。
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