研究課題/領域番号 |
12671083
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
難波 光義 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (00183533)
|
研究分担者 |
紺屋 浩之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50340956)
浜口 朋也 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60330461)
郡 耕介 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30278832)
|
キーワード | 膵島炎 / 膵β細胞 / 膵生検 / ベータセルリン / アロキサン糖尿病 |
研究概要 |
平成13年度は、免疫寛容の破綻が起こる以前の段階で標的臓器である膵島のFasが欠損していれば、免疫応答がおこらないか否かを検討する目的で、膵島炎や糖尿病発症以前のNODマウスに対して、自己の膵β細胞をアロキサンで破壊後にNOD-lpr/lprマウス膵島を移植する実験を行ったが、一定の結果をえることができなかった。 そこで、今後のヒト1型糖尿病に対する再生医療を視野に入れ、傷害されたβ細胞の新生が可能であるかを明らかにするため、選択的アロキサン部分灌流で膵一部のラ氏島細胞を傷害したモデルマウスを用い、EGFファミリーの一つであるベータセルリン投与がβ細胞の新生を惹起するか検討した。 連日のベータセルリン皮下投与を受けたマウスでは膵導管細胞や外分泌細胞に隣接して、主としてβ細胞からなるラ氏島細胞集塊の出現をみた。また、8週後に行った経腹膜的ブドウ糖負荷試験ではベータセルリン投与群で耐糖能の改善と体重の増加を確認した。ベータセルリンは傷害膵におけるβ細胞の再生に有効である可能性が明らかとなった。 以上の結果をふまえ、ヒト1型糖尿病治療の前段階として、発症直後の1型症例の膵生検を行いその組織における自己免疫現象の分析を行った。発症3ヶ月内に実施した29例の1型症例のうち17例において、主としてTリンパ球のラ氏島への浸潤を認め、これらの症例では血清中にGAD抗体とIA-2抗体が陽性であった。またこの検査において特記すべき合併症を経験しなかった。 今後、新規発症例に対してこの膵生検を用いることにより、種々のβ細胞再生治療の有効性を検証することが可能になると考えられる。
|