ヒト下垂体腺腫におけるmPOU蛋白の発現、細胞内局在の検討 私ともが、ヒト下垂体cDNAライブラリーからクローニングしたmPOUはプロラクチン(PRL)遺伝子発現をPit-1存在下に活性化するが、mPOUの生理的病理的な意義について未だ十分には明らかでなかった。そこで、本年度は、まず、下垂体腫瘍におけるmPOUの意義を明らかにするため、ヒト下垂体腫瘍にmPOU蛋白が存在するか否か免疫組織化学法を用いて検討した。mPOUを構成する一部のアミノ酸配列をヘモシアニンとコンジュゲートし、家兔に免疫し抗血清を得た。この抗血清を使用して、ヒト下垂体腫瘍(PRL産生腫瘍1例、GH産生腫瘍2例、FSH産生腫瘍1例、非機能性3例)におけるmPOUの存在を検討した。染色性に強弱はあるものの、いずれの腫瘍においても、核および細胞質にmPOU様免疫活性は存在した。Cos細胞にmPOUを外因性に発現させたときも、mPOUは核、および細胞質に分布した。何がmPOUの核、細胞質局在を決定しているのか、それがPRL遺伝子発現調節の制御点の1つであるのかについては現在のところ不明である。 mPOUノックアウトマウスを用いたmPOUの生理的意義の検討 本年度は、mPOU遺伝子のエクソン領域をgreen fluorescence protein(GFP)遺伝子cDNAで置き換えたmPOUノックアウト、GFPノッインターゲテイングベクターを作製し、これをES細胞に導入、G418による選択をおこない、G418耐性ES細胞株を樹立した。相同組み換えによりmPOU遺伝子がノックアウトされ、GFPがノックインされているか、現在、確認中である。
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