研究課題/領域番号 |
12671100
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢野 秀樹 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30288576)
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研究分担者 |
三木 隆司 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50302568)
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キーワード | インスリン分泌 / MIN6細胞 / サブクローニング / AMP産生 / ATP感受性K^+チャネル / ディファレンシャルディスプレイ |
研究概要 |
MIN6細胞はマウスインスリノーマ由来の株化細胞で、良好なグルコース応答性インスリン分泌を示す細胞(m9)と不良な細胞(m14)をサブクローン化し、両者の代謝やインスリン分泌特性、遺伝子発現を網羅的に比較することによって、グルコース応答性インスリン分泌障害に関与する因子を検索した。【方法】限界希釈法によってMIN6細胞をサブクローン化し、m9とm14を選択した。両者の生理学的解析およびmRNAディファレンシャルディスプレイを行なった。【結果】生理学的解析:m9細胞、m14細胞両者ともに糖輸送担体GLUT2の発現はほとんど認められず、代わりにGLUT1が強く発現していた。m14細胞ではへキソキナーぜHKの発現が多く、グルコキナーゼGKの発現が少ない。m14細胞ではm9細胞に比しLDH活性が増加し、培地中に放出された乳酸量も有意に増加していた。さらに、培地中のグルコース消費はm14細胞で有意に亢進していた。グルコースによるATP産生は両細胞間で差を認めなかったが、ミトコンドリア呼吸鎖由来のATP産生はm14細胞ではほとんど欠如していた。m14細胞でK_<ATP>チャネルの標準化コンダクタンスは有意に低値を示し、静止膜電位は有意に高値を示した。m9細胞では細胞外グルコース濃度の増加に伴って、細胞内Ca^<2+>濃度の増加が認められたが、m14細胞ではまったく変化が見られず、VDCCを介するCa^<2+>電流もm14細胞で減弱していた。 mRNAディファレンシャルディスプレイ:両細胞間で差の認められたバンドを98個見出した。これらすべてをサブクローニングし、RNAブロッティングを行った結果、発現量に著しい差を認めた遺伝子を10個見い出した。【結論】グルコース応答性インスリン分泌障害の分子メカニズムを解明するための材料として、本研究において樹立したインスリン分泌特性の異なる2つの細胞株は有用である。
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