研究課題/領域番号 |
12671106
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀田 饒 名古屋大学, 医学部, 教授 (60023793)
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研究分担者 |
茶谷 貞男 名古屋大学, 医学部, 助手 (30313993)
濱田 洋司 名古屋大学, 医学部, 助手 (20293706)
中村 二郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40283444)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 網膜毛細血管ペリサイト / アポトーシス / ポリオール代謝 / 酸化ストレス / プロティンキナーゼC / アルドース還元酵素阻害薬 |
研究概要 |
高濃度グルコースによる網膜毛細血管ペリサイト(RPC)のアポトーシスとポリオール代謝、酸化ストレスおよびPKC活性との関連性をアルドース還元酵素阻害薬(SNK-860:SNK)を用い検討した。 【方法】1)RPCの培養;牛眼より単離培養した第3世代のRPCを、5.5mMグルコース(G)(NG群)、20mMG(HG群)および10μMSNK添加20mMG(HG+SNK群)にて5日間培養した後、以下の項目について検討した。2)MTT assay;ミトコンドリア内脱水酵素活性を測定し、細胞のviabilityを評価した。3)アポトーシスの検出;TUNEL法によるin situ endo labeling、Hoechst 33342を用いた核染色、アガロースゲルによるDNA電気泳動を行った。4)還元型グルタチオン濃度;キットを用いて測定した。5)PKC活性:ジギトニンを用いたinsitu labelingにより測定した。 【成績】1)MTT assay;HG群において、NG群に比較し有意なMTT活性の減少を認め、HG+SNK群ではHG群に比較し有意にMTT活性の回復を認めた。2)TUNEL法によるアポトーシスの検討;NG群でほとんど認められなかったTUNEL陽性細胞がHG群において認められ、HG+SNK群ではその数が減少していた。3)Hoechst 33342による核染色;NG群に比しHG群における有意なアポトーシス細胞の増加は、SNKにより有意に減少した。4)DNA電気泳動;HG群においてはDNAラダーを認めたのに対して、SNK添加群ではインタクトDNAのシングルバンドのみを認めた。5)還元型グルタチオン濃度;HG群では、細胞内還元型グルタチオン濃度が有意に低下し、この低下はHG+SNK群ではほぼ完全に回復した(NG;8.32±.0.4μmol/mg protein、HG;6.52±0.2、HG+SNK;8.30±0.5)。6)PKC活性:HG群でPKC活性は有意に低下し、この低下はHG+SNK群では部分的に回復した(NG;8.32±0.4pmol/min/mg protein、HG;6.52±0.2、HG+SNK;8.30±0.5)。 【結論】高濃度グルコースによるRPCのアポトーシスには、ポリオール代謝活性の亢進を介した酸化ストレスの亢進およびPKC活性の低下が関与している可能性が示唆された。
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