研究課題/領域番号 |
12671106
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
濱田 洋司 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (20293706)
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研究分担者 |
中島 英太郎 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (50335030)
中村 二郎 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40283444)
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キーワード | 糖尿病網膜症 / 網膜毛細血管ペリサイト / アポトーシス / ポリオール代謝 / 酸化ストレス / プロテインキナーゼC / アルドース還元酵素阻害薬 |
研究概要 |
高濃度グルコースによる網膜毛細血管ペリサイト(RPC)のアポトーシスの機序を検討する目的で、アルドース還元酵素阻害薬(SNK-860)、還元型グルタチオン(GSH)、caspase-3阻害薬およびcalpain阻害薬を用い、細胞内Ca^<2+>濃度、GSH含量、caspase-3活性を測定するとともに、高濃度グルコースによるRPCのアポトーシスに対する効果を比較した。 【方法】1)RPCの培養;網膜組織よりRPCを単離培養し、5.5mMグルコース(G)含有MEM(NG群)、20mMG含有MEM(HG群)、およびHG群に10μM SNK、2μM caspase-3阻害薬、10μM calpain阻害薬あるいは10、100μM GSHを添加した条件にて5日間培養した後、以下の項目について検討した。2)細胞内Ca^<2+>濃度:細胞を回収後Fura-2AMを負荷し、340nmおよび380nmでの蛍光強度比を測定することにより、Ca^<2+>濃度を算出した。3)細胞内GSH含量;OXIS社GSH-400キットを用いて細胞内GSH含量を測定した。4)Caspase-3活性;R&D systems Caspase-3 colorimetric assay kitを用いて細胞内のcaspase-3活性を評価した。5)MTTassay;ミトコンドリア内脱水酵素活性を測定し、細胞のviabilityを評価した。6)蛍光核染色;Hoechet33258染色したクロマチンの凝集、断片化を蛍光顕微鏡で観察しアポトーシスの評価とした。 【成績】細胞内GSH含量、MTT活性はHG群で有意に低下し、細胞内Ca^<2+>濃度、caspase-3活性およびアポトーシスはHG群で有意に増加した。これら全ての変化はSNK添加により改善した。Calpain阻害薬はアポトーシスおよびMTT活性を部分的に抑制し、caspase-3阻害薬はアポトーシスを完全に抑制したがMTT活性に与える影響は部分的であった。GSHによりアポトーシスは部分的に抑制された。 【結論】以上の成績より、高グルコースによるRPCのアポトーシスは、そのメカニズムにポリオール代謝活性の亢進を介した酸化ストレスの亢進およびCa^<2+>-calpain系の活性化を含み、caspase-3依存性であることが示唆された。
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