研究課題/領域番号 |
12671112
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314211)
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研究分担者 |
吉政 康直 国立循環器病センター, 動脈硬化・代謝部, 部長 (00252437)
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キーワード | AMPキナーゼ / 骨格筋 / 糖代謝 / 運動 / 筋収縮 / シグナル伝達 / 糖輸送 / グリコーゲン |
研究概要 |
1.運動による骨格筋糖代謝活性化における5'AMP-activated protein kinase(AMPK)の役割の検証:ラツト骨格筋が収縮すると、AMPKは急性に活性化を受け、それに相関してインスリン非依存性糖輸送が活性化された。AICARを用いて薬理的にAMPKを活性化すると収縮時と同様に糖輸送が促進された。またAMPKの薬理的阻害により糖輸送が抑制された。中等強度の筋収縮ではAMPKα2アイソフォームが、高強度の筋収縮ではAMPKα1・α2アイソフォームの両者が活性化され、糖輸送はα2活性とよく相関した。一方、筋収縮によりグリコーゲン分解系・合成系がともに活性化されたが、AICARによる薬理的活性化では分解系・合成系ともに活性化されなかった。このことから、AMPKは運動による骨格筋糖輸送促進には関与するが、運動によるグリコーゲン代謝における重要な役割を持たないことが示唆された。 2.運動によるAMPKα2活性化の意義:マウスにAICARを皮下あるいは腹腔内に至適量を投与することによって、中等強度運動時と同様のAMPK活性化(α2のみが選択的に活性化されα1が活性化されない)を惹起すると、骨格筋糖輸送の活性化と糖輸送担体GLUT4の増加が得られた。このことからα2が運動による糖輸送亢進やGLUT4発現に重要なアイソフォームであることが示唆された。 3.抗糖尿病薬(チアゾリジン誘導体)によるAMPKと糖輸送の活性化:単離したラット骨格筋を緩衝液中にてチアゾリジンを作用させると、中等度運動時と同様にAMPKα2が活性化されるとともにインスリン非依存性糖輸送が促進された。筋エネルギー状態も運動時と同様低下した。従来知られているインスリン感受性改善効果に加え、チアゾリジンの作用機序にAMPK活性化を介した糖輸送促進効果があることが示唆された。
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