研究課題/領域番号 |
12671122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
奥野 泰久 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80152429)
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研究分担者 |
城野 修一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60336790)
塩井 淳 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90260801)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 血管石灰化 / リン代謝 / リン輸送体 / 平滑筋細胞 / アポトーシス / メンケベルグの石灰化 / 慢性腎不全 / VEGF |
研究概要 |
1)ヒト血管平滑筋細胞(HVSMC)をcalcification medium(リン濃度2.0mM)で培養すると石灰化が誘導され、経時的、用量依存的に細胞層カルシウム(Ca)沈着量は増加した。電顕の所見では細胞間マトリックスにCaがハイドロキシアパタイトとして沈着していた。次に石灰化誘導群のHVSMCから抽出したmRNAを用いて骨芽細胞の分化マーカーの発現をNorthern blot法にて検討したが、マーカーの発現が増加し、HVSMCが骨芽細胞様細胞へ分化することが示唆された。次に培養液中のリン濃度を増加させた時に見られる石灰化の機序を解明するため、細胞外から内ヘリンを輸送するナトリウム依存性リン共輸送体(NaPi)につき検討した。HVSMCにはNaPiが存在し、細胞外リン濃度を増加させると経時的・用量依存的に細胞内リン濃度は増加した。さらにNaPi阻害剤であるphosphonoformic acid(PFA)にてNaPi活性を阻害した時、石灰化および骨芽細胞様形質への分化が抑制された。このNaPi systemが石灰化病変にも関与するかどうか、NaPiの発現を免疫組織学的に検討した。NaPiは動脈硬化巣のmineralization frontに発現しており、in vivoの病変にも関与していることが示唆された。 2)慢性腎不全患者のシャント作成時の摘除血管(橈骨動脈)を用いてメンケベルグの石灰化(MMS)とアポトーシス(ア)との関係を検討した。患者は男30、女25名(平均年齢64歳)。腎不全の原因は糖尿病23、慢性腎炎13、高血圧13名であった。組織標本はH&E, Azan-Mallory染色、カルシウム沈着はvon Kossa染色、アによる細胞死はTUNEL法にて同定した。種々の物質の局在は特異抗体にて免疫組織化学的に検討。8/55名にMMSを認め、病変は中膜内側に島状に局在し、平滑筋細胞に取り囲まれ、石灰化部分はvon Kossa染色陽性であった。MMS病変のすべてにTUNEL陽性細胞がみられ、これらの細胞にはα-smooth muscle actinがみられ平滑筋細胞と考えられた。アを誘導するBaxは3/8名に認めた。MMSの5/7名にMMS周辺の平滑筋細胞にVEGFを証明した。動脈壁の阻血がアを誘導し、MMSが発症、進展する可能性が示唆された。
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