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2002 年度 実績報告書

遊離脂肪酸の膵β細胞機能に及ぼす影響に関する分子生理学的ならびに分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12671126
研究機関杏林大学

研究代表者

石田 均  杏林大学, 医学部, 教授 (80212893)

研究分担者 永松 信哉  杏林大学, 医学部, 教授 (80231489)
キーワードプロインスリン / 遊離脂肪酸 / インスリン分泌 / 細胞内カルシウム濃度 / PPARγ / グルカゴン分泌 / 分泌顆粒放出系
研究概要

インスリンを生合成し分泌する膵β細胞自身が、インスリン受容体を発現するインスリン標的細胞である事実が示されている。一方膵β細胞にはインスリンシグナリングのkey moleculeの1つであるPPARγの発現が認めれているものの、その生理的役割については未だ明らかではない。高濃度の遊離脂肪酸の存在下に培養された膵ラ氏島では、PPARγの発現が過剰となることが報告されている。また肥満2型糖尿病モデルで、実際に高脂血症をともなうことが知られているZDFラットにおいて、膵β細胞でのPPARγ発現が増大している事実も観察されている。そこで人為的に膵ラ氏島に対しアデノウィルスの発現系を用いてPPARγを過剰発現させ、グルコースならびに高濃度KCl刺激に対するグルカゴン分泌に及ぼす影響について検討を加えた。その結果、(1)11.1mMならびに16.7mMグルコース刺激に対するインスリン分泌は、PPARγ過剰発現群で明らかな抑制が認められた。(2)20mMならびに30mM KCl刺激に対するインスリン分泌も、過剰発現群で明らかな抑制が認められた。しかしながら、インスリン含量については対照との間に有意差は認められなかった(3)30mM KCl刺激に対するグルカゴン分泌には両群間で差は認められなかった。以上より、膵β細胞でのPPARγの過剰発現は、インスリン分泌能に対し明らかな抑制効果を示した。一方、グルカゴン分泌能には何らの影響も及ぼさなかったことから、この効果は膵β細胞に対する特異的なものであると考えられた。さらに高濃度KCl刺激により細胞膜が脱分極している条件下においてもインスリン分泌が明らかに抑制されたことから、インスリン分泌機構のなかでも主として細胞内カルシウム上昇以降の分泌顆粒放出系に対し直接的な作用を及ぼすものと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Y.Nakamichi, H.Ishida, et al.: "An insulin-related peptide expressed in 3T3L1 adipocytes is localized in GLUT4 vesicles and secreted in response to exogenous insulin, which augments the insulin-stimulated"J Cell Sci. 116. 73-79 (2003)

  • [文献書誌] K.Kimoto, H.Ishida, et al.: "Gliclazide protects pancreatic beta-cells from damage by hydrogen peroxide"Biochem Biophys Res Commun. (in press).

  • [文献書誌] A.W.Norman, H.Ishida, et al.: "Molecular tools for stydy of genomic and rapid signal transduction responses initiated by 1α, 25(OH)2-vitamin D3"Steroids. 67・6. 457-466 (2002)

  • [文献書誌] N.Abe, H.Ishida, et al.: "Pancreatic endocrine function and glucose transporter(GLUT)-2 expression in rat acute pancreatitis"Pancreas. 25・2. 149-153 (2002)

  • [文献書誌] M.Ohara-Imaizumi, H.Ishida, et al.: "Monitoring of exocytosis and endocytosis of insulin secretory granules in the pancreatic β-cell line MIN6 using pH-sensitive green fluorescent protein(pHuorin) and confocal laser microscopy"Biochem J. 363. 73-80 (2002)

  • [文献書誌] M.Ohara-Imaizumi, H.Ishida, et al.: "Imaging exocytosis of single insulin secretory granules with evanescent wave microscopy -Distinct behavior of granule motion in biphasic insulin release-"J Biol Chem. 277・6. 3805-3808 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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