研究概要 |
高比重リポ蛋白(HDL)には動脈硬化を抑制する作用があることが知られており、低HDL血症では虚血性心疾患の発症が増加することが知られている。血液中のHDL濃度を規定する因子としては、アポ蛋白A-I, A-II濃度、LCTA活性、CETP活性などが知られているが、HDL上のコレステロールエステル(CE)を異化する受容体(SR-BI)も重要な規定因子であることが近年明らかとなってきた。現在までに1)SR-BIはCETP欠損症で認められるコレステロールエステルに富むHDIを正常なHDLに転換する機構を持つこと、2)肝細胞のSR-BIは7α-hydroxlaseを誘導し胆汁酸分泌を亢進すること、を確認した。すなわち、1)CETP欠損症患者のコレステロールエステルに富むHDLは抗動脈硬化作用の弱いHDLと考えられ、SR-BIはそれを正常化すること、また2)SR-BIは胆汁酸分泌を亢進させるごとで血清コレステロール濃度を低下させていること、が示された。
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