研究概要 |
研究課題:HLA分子由来ペプチドと遺伝子導入樹状細胞を用いた寛容誘導の研究。 研究計画要旨及び実績概要:我々は以前、HLA抗原(HLA-B35及びHLA-B51)を移入したTransgenic mouse(TGM)2種類を作成し,HLAクラス1分子の免疫応答における役割を直接in vivo(異所性心移植モデル)で解析するシステムを開発した。このモデルにてドナー由来の合成ペプチドのレシピエント胸腺s内投与により移植心の生着延長を認めている(60日以上)。今回我々は、成人の退化した胸腺に変わり得るものとして、強力な抗原提示能を有する樹状細胞(DC)に着目し、遺伝子レベルで操作したDCと、上記アロ由来ペプチドとの接触により、胸腺内投与と同様の末梢性免疫寛容を上記TGM移植モデルにて誘導するのを目的としている。HLA抗原を移入したTGM2系統(C3H. B35及びC3H. B51)の回復及び免疫応答の確認:凍結胚からの回復後、約半年間の交配過程を経てTGM2系統共にホモ接合性の繁殖可能な個体が得られた。当研究計画の要ともいえる2系統間の同種免疫応答をin vivo及びin vitroにて確認した。C3H. B35からC3H. B51への皮膚移植片は平均15日間で90%が拒絶され、異所性心移植片は平均24日間で拒絶された。これらは当研究計画の基礎となる安藤らの報告(Ando and Beck et al.,Transplantation 68,904-908,1999.)とほぼ合致する所見である。また、C3H. B35皮膚移植片にて感作されたC3H. B51脾細胞を応答細胞、ガンマ線照射処理C3H. B35脾細胞を刺激細胞とし、混合培養することにより、E:T比80:1で50%を超える%特異的細胞障害活性を持つ同種(この場合はC3H. B35に対する)特異的細胞障害性Tリンパ球を生成し得た。マウス樹状細胞(DC):骨髄由来細胞から付着細胞を除外しGM-CSFおよびIL4を作用させることにより、混合白血球反応にて確認しうる同種免疫応答を惹起するアロ樹上細胞を生成し得た。これらのDCを使用してTGMの心移植、皮膚移植を行い、寛容誘導が可能か否か検討する。
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