研究課題/領域番号 |
12671146
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山口 典子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90251553)
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研究分担者 |
堀 久枝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014190)
岡部 聡 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究所, 講師 (60242187)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究所, 助教授 (40134704)
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キーワード | 血管新生 / エンドスタチン / 腫瘍 / がん / コラーゲン |
研究概要 |
エンドスタチンは血管基底膜を構築するXVIII型コラーゲンの分解産物であるが、強力な血管新生阻害作用及び抗腫瘍作用を有することから抗癌剤としての開発が急速に進められ、米国で第I相臨床試験が終了し第II相臨床試験が進行中である。エンドスタチンの臨床試験が進行する一方、エンドスタチン及びXVIII型コラーゲンの作用機作に関しては解明が進んでいないことから、本研究はエンドスタチンによるがんの増殖、浸潤、転移抑制の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。平行して腫瘍動物モデルを用いてエンドスタチンの有効性を検討することを計画した。 1.エンドスタチン受容体を同定するためアフィニティークロマトにて結合する蛋白質を調製した。アミノ末端分析により配列の決定を試みたが、末端が修飾されていたためアミノ酸配列を得ることが出来なかった。現在酵素消化によりペプチド断片を調製し、配列の決定を行っている。 2.細胞増殖因子に対する走化性阻害機構に関しては、VEGFにより細胞内に誘起されるシグナル伝達系との関係を検討した。VEGFにより誘起される伝達経路の活性化において、エンドスタチンによる反応性の低下は明らかではなかったが、エンドスタチン単独でMAPキナーゼが活性化されることを見出した。活性化の競合による阻害の可能性について現在検討中である。 3.エンドスタチンの活性中心部位の探索については、種々のミュータントを用いた活性比較実験から分子表面の部位を特定出来たが、合成したペプチドは代替えとなり得る程度の活性を示さなかった。コードするアミノ酸配列の範囲を変えて新たにペプチドを合成すると共に、立体構造の寄与に関しても検討している。 4.動物の脳内に腫瘍を形成させるモデルにおいて、組換えエンドスタチンは腫瘍の増殖を抑制し結果的に腫瘍の体積は対照群の約1/4であった。プラスミドを腫瘍細胞に導入するなど遺伝子治療法に対するアプローチを開始した。
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