研究課題/領域番号 |
12671147
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 好信 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20313538)
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研究分担者 |
山本 智 新潟大学, 医学部・附属病院, 医員
渡部 久実 新潟大学, 医学部, 講師 (50143756)
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キーワード | Liver transplantation / Portal tolerance / NKT cell / CD56^+CD3^+ cell / Extra thymic T cell / Doner specific transfusion / Chimerism / Immune Suppression |
研究概要 |
◇グラフト肝内ドナー白血球の動態とドナータイプCD56+CD3+T細胞マクロキメリズムについて(平成12年度、日本外科学会、日本移植学会、日本肝胆膵外科学会、日本肝臓学会、アジア移植学会、国際肝臓会議、国際消化器外科学会にて発表) ドナー、レシピエントのHLAクラスIの違いから見たFlow cytometry解析により、生体肝移植後肝内リンパ球は、約1週間でドナータイプからレシピエントタイプに95%以上(末梢血で99%以上)置き換わることが判明した。これに対しドナー血門注群では1ヶ月もしくは3ヶ月以上経っても肝内リンパ球の20%近くをドナータイプCD56+CD3+T細胞(胸腺外分化T細胞)が占めており、マクロキメリズムになっていることが判明した。これに対し胸腺分化T細胞はほとんどレシピエントタイプに置き換わっていた。 ☆ドナー血門注のTh1、Th2paradigmからの解析 門注群で、非門注群に比べて、術後早期の末梢血中IL-10レベルが有意に高値を示しており、門注がTh2への誘導を促す可能性が示唆された。 ☆グラフト肝内リンパ球と灌流(shear stress)との関係 マウス実験でNKT細胞が灌流圧に胸腺分化T細胞に比べて抵抗力があり、肝内にとどまりやすいことが判明した(Hepatology1999)。ヒト生体肝移植においては、NK細胞やCD56+CD3+T細胞が肝内に留まりやすい性質があり、conventional T cellは肝外にwash outされやすいことが判明した。(移植学会、消化器外科学会、肝臓学会にて発表) ☆末梢血キメリズムのshort tandem repeat(STR)法からの解析 末梢血ではSTR法では移植後1病日にかけてドナータイプリンパ球が検出されるが、その後は全く検出されなかった。しかし移植直後のドナータイプの割合は13%台を占めており、肝内ドナーリンパ球がpassenger leukocytesとしてごく早期からアロ移植免疫反応に関与している可能性が示唆された。 ☆実際の臨床での免疫抑制剤の減量、拒絶反応の結果 門注群では2ヶ月以内に全例ステロイド離脱が可能であった。FK506も早期に減量可能であり、より低い血中濃度でも拒絶反応の頻度は、非門注群に比べ少なかった。 非門注群では2ヶ月以内にステロイド離脱症例はいなかった。
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