研究概要 |
AOM誘発大腸発癌抑制と転移抑制作用が明らかになったことから、初年度よりアップルペクチンにおける活性酸素に対する抑制効果を明らかにしてきた。特に、アップルペクチン由来のオリゴ糖をbioreacterにより分解し、平均重合度の低いオリゴ糖領域に強い抑制があることが判明したために、青森県においてリンゴ搾汁カスからペクチンを22.58%と高濃度に含有するペクチンD1、ペクチンD2(比較的白っぽい粉末)の2種類が得られたために健康食品への開発を行うべく、今年度はペクチンD1、ペクチンD2における各種活性酸素にたいする抑制率を検討した。 [方法]試料は0.2mg/ml、2.0mg/ml、20mg/mlに調製して使用した。活性酸素は、・O_2^-と・OHを測定の対象とし、・OHについては紫外線照射(365nm, 4x10^3joule/m^2/min)による方法を追加した。・0_2^-の発生系には、HPX-XOD反応を用い、・OHの発生系にはFenton反応を用いた。測定方法には、ラジカルをトラップ剤で捕捉し、ESR法を用いて測定した。信号強度は、内部標準であるMnOに対する相対強度として算出し、超純水をコントロールとして用い、活性酸素抑制率を求めた。 [成績]ペクチンD1の・0_2^-抑制率は0.2mg/mlにおいては2.5%、2.0mg/mlでは34.3%、20mg/mlでは77.0%を示した。ペクチンD2はそれぞれ2.5%、37.9%、78.3%とペクチンD1と同程度の抑制率を示した。・OHの発生系によるFenton反応ではペクチンD1の・OH-抑制率は0.2mg/mlにおいて4.9%、2.0mg/mlでは50.0%、20mg/mlでは83.1%を示した。ペクチンD2はそれぞれ8.6%、36.3%、88.4%とペクチンD2に比較的強い抑制率が示された。紫外線照射による・OHの発生系にたいしてはペクチンD1においては20mg/mlで-32.5%、ペクチンD2においても-35.6%を示し、共に・OHの発生を増強した。 今後のin vivo実験へのペクチンD1、ペクチンD2の使用は抗酸化作用の観点から可能であることが判明した。平成14年度はペクチン22.58%含有のペクチンD1、ペクチンD2を使用して抗酸化作用がどのようにDNA酸化的損傷を抑制するかまた血液流動性とLBA(Live blood analysis)へどのように影響するかなどについて検討する予定である。
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