(1)Wistar系ラットより自己血を採取し、自己クリオプレシピテートを分離した。同時に真皮から自己線維芽細胞を分離、培養した。2〜3週間後にトロンビンを用いて両者をフィブリン糊として使用した。 (2)同系ラットの気管縫合部A群:無処置、B群:市販の人フィブリン糊使用、C群:自己フィブリン糊使用(自己クリオプレシピテートとトロンビンを使用)、D群:自己線維芽細胞併用(自己フィブリン糊と線維芽細胞を併用)の治癒を比較検討した。 (3)同系ラットの小腸を切離し、縫合した後、上述の4群で同様に比較検討した。5日後にC群とD群がA群、B群より有意に高い耐圧を示した。コラーゲンに含まれるハイドロキシプロリンの測定で、3日後、5日後にD群が有意に高値を示した。 (4)難治性の食道瘻、肺瘻、皮膚瘻の患者に、本法を臨床応用し、有用性が示された (5)増殖因子を使用することで線維芽細胞の培養期間を短縮できることが判明した。 上記の結果より自己フィブリン糊と自己線維芽細胞との併用は創傷治癒に有効であると思われた。今後は血管新生因子の免疫染色および測定を行うとともに、大網由来の自己線維芽細胞の使用へと展開できると思われる。
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