研究課題/領域番号 |
12671160
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
善甫 宣哉 山口大学, 医学部, 助教授 (00206666)
|
研究分担者 |
瀬山 厚司 山口大学, 医学部, 助手 (20333461)
竹中 博昭 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (00314807)
|
キーワード | 大動脈瘤 / アンチセンスオリゴヌクレオチド / matrix metalloproteinase-9 / プルロニックジェル / 膵エラスターゼ / 遺伝子治療 |
研究概要 |
膵エラスターゼによるラット腹部大動脈瘤モデルにおいて、アンチセンスmatrix metalloproteinase-9(MMP-9)オリゴヌクレオチドを動脈瘤周囲に局所投与し、瘤径の縮小効果を検討することを目的とした。 1.膵エラスターゼ潅流によるラット腹部大動脈瘤モデルの作成 体重280-370gのSDラットを全身麻酔下に開腹し、腎動脈下腹部大動脈を10-15mmにわたり露出する。腎動脈下腹部大動脈および腰動脈をマイクロ遮断鉗子で遮断し、左大腿動脈より挿入したPE-10カテーテルを腹部大動脈に留置、大動脈末端を絹糸で遮断する。カテーテルより25単位/mlの膵エラスターゼを100mmHgの圧で1ml/時間の速度で30分間注入し、大動脈瘤を作成した。膵エラスターゼ潅流により大動脈径は前1.276±0.119mmより直後2.143±0.145mmへ有意に増大した(p<0.0001)。 2.アンチセンスMMP-9オリゴヌクレオチド局所投与による瘤径抑制効果 上記の膵エラスターゼ潅流によるラット腹部大動脈瘤作成直後に、プルロニックジェル、randomizedオリゴヌクレオチド含有プルロニックジェル、アンチセンスMMP-9オリゴヌクレオチド含有プルロニックジェルを塗布した群をそれぞれ作成し、7目目に犠牲死させた。術後7日目の大動脈径はプロニックジェル7.524±2.074mm、randomizedオリゴヌクレオチド7.852±2.789mm、アンチセンスMMP-9オリゴヌクレオチド5.362±1.948mmであり、アンチセンスで有意に瘤径が抑制された(P<0.05)。膵エラスターゼ潅流後より術後7日目の瘤径拡大比は、プロニックジェル3.503±1.115、randomizedオリゴヌクレオチド3.746±1.268、アンチセンスMMP-9オリゴヌクレオチド2.510±0.956であり、アンチセンスで有意に瘤径拡大比が抑制された(P<0.05)。瘤径拡大比抑制率は33%であった。 3.Zymography、western blottingによるMMMP-9活性の定量評価 現在、1mg/mlのゼラチンを基質としたzymography、ヒトMMP-9抗体を用いたWestern blottingにより、大動脈瘤標本と培養マクロファージのMMP-9活性の定量評価を行っている。
|