研究概要 |
外来性抗原のprocessingに関与するCathepsin Bの阻害剤CA 074は、本研究のin vitroの実験系、ラットをstimulator、マウスをresponderとした異種リンパ球混合培養(MLR)において、100mg/ml濃度でDirect, Indirect recognition両方に依存性するMLRを部分的に抑制し、Indirect recognition依存性のMLRをcontrolと同じレベルまでほぼ完全に抑制した。Indirect recognition依存性MLRの抑制効果は容量依存性であった。またCA074はマウスをstimulator、ヒトをresponderとしたヒト異種リンパ球混合培養におけるindirect recognitionを100mg/ml濃度で部分的に抑制し、同薬剤の臨床応用の可能性も示唆された。in vitroにおけるCA074の免疫抑制効果のmechanism studyとしてTh1,Th2 cytokineの関与の検討を試みたが、実験系を確立するところまでに未だ至っていない。CA074のin vivoにおける効果を検討するために異種抗原感作による異種抗体産生とその抑制効果を検討したが、今回用いた投与量では抗体産生抑制効果は認められなかった。また、ラットからマウスへの異種臓器移植細胞性免疫反応を検討する系として皮膚移植モデルを、液性免疫反応、細胞性免疫反応をともに検討する系として心移植モデルを確立中である。 本研究では、CA074が異種移植において免疫抑制効果を有することがin vitroの系で明らかになった。今後は、そのメカニズムを明らかにし、in vivoにおいて有効な投与方法、多剤との併用療法の可能性を研究していく予定である。
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