研究概要 |
1)雑種成犬を用いて、in vivoの虚血・再灌流実験を行い、FR167653の効果を確かめた。膵体尾部を剥離・露出し、脾動静脈にクランプをかけて90分間の温疎血を行うと、サイトカインの産生によって局所および全身遠隔臓器に障害が起こり、FR167653でそれが軽減されることを証明した。コントロール群とFR群で組織血流、IVGTT、血中アミラーゼ、リパーゼ、クレアチニン、GOT、GPT、末梢血中のIL-1βmRNA、動脈血ガスの計時的変化を術後3日目まで計測し、術後3日目にsacrificeして膵、腎、肺、肝の組織を採取し、組織学的検討も加えた。FR群は虚血・再灌流障害を受けた直接臓器のみならず、サイトカインの産生を抑制することによって、遠隔臓器の障害を軽減することを証明し、学会発表と論文掲載をした(SURGERY,129(3),309-317)。 2)膵体尾部を頸部に自家移植することに成功し、同様に温疎血を加え、サイトカイン産生とFRによる効果を証明し学会発表した。現在、英文で投稿中である。 3)左腎のみの虚血・再灌流モデルを作成し、膵と同様にFRの効果を確かめ、移植学会で発表した。現在、SURGERYに投稿し、reviseを返送したところで、accept間近の回答をうけている。 4)左腎を左腸骨窩に自家移植し、60分の温疎血をかけてFRの効果を同様に確認している。現在、頸部に自己膵移植、腸骨窩に自己腎移植の膵腎同時移植モデルの作成に成功し、引き続き実験を行っている。
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