研究概要 |
1.腫瘍抗原env-1遺伝子のcloningとアデノウイルスベクターの作製 BALB/cマウス大腸癌細胞株CT26よりmRNAをtemplateととし,RT-PCRによりenv-1遺伝子を増幅し,これらをpCR2.1にsubcloningし,env-1発現アデノウイスルベクターAxCAenv-1をCOS-TPC法にて作製した.AxCAmGM-CSFは以前に我々が作製したものを用いた. 2.マウス樹状細胞(DC)の誘導 murine GM-CSF200U/ml存在下で培養したBALB/cマウス骨髄細胞由来の浮遊細胞は,flow cytometryにて,MHC classI,MHC classII分子,CD11c,CD80の高発現,CD86の低発現を認め,DC特有の表面抗原を発現していることを確認した. 3.アデノウイルスベクターによるDCへの遺伝子導入効率と遺伝子導入後のDCのviability 1)アデノウイルスベクターによるDCへの遺伝子導入効率は,MOI 100にて従来の静置法による55〜61%に比べて,遠心法では80〜83%と著しく向上した. 2)遺伝子導入後のDCのviabilityは,遺伝子を導入していないDCと比較して,M0I 100では変わりなかったが,MOI 200以上ではviabilityは用量依存的に低下することが判明した. 4.組み換えアデノウイルスベクターによるDCへの目的遺伝子の導入と発現の確認 遠心法を用いてDCにAxCAenv-1をMOI 100で感染させ,env-1の発現をRT-PCRを用いて確認した.その結果,CT26とほぼ同程度のenv-1の発現を認めた.また,DCにAxCAmGM-CSFを種々のMOIで感染させ,培養上清中に産生されるmGM-CSFを測定した結果,低いMOIで高濃度の産生を認めた(MOI5;482ng/5×10^5 cells).
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