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2002 年度 実績報告書

脳死肝移植における肝微小循環障害の解明とその障害抑制法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12671172
研究機関北里大学

研究代表者

佐藤 光史  北里大学, 医学部, 助教授 (40118815)

研究分担者 柿田 章  北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
高橋 毅  北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
板橋 浩一  北里大学, 医学部, 助手 (50265659)
キーワード脳死 / 肝 / 微小循環 / トリプシンインヒビター
研究概要

平成14年度研究業績
我々はラット脳死モデルを用い脳死はドナー肝に対して肝障害及び微小循環障害を惹起させ、ウリナスタチン(以下UTI)を脳死と同時投与すると肝障害を軽減させることを報告した。今年度はUTIを脳死成立後に投与し同様の効果が得られるか検討した。さらに脳死による全身血圧の低下が肝障害に寄与する可能性を解明するために薬物誘導による非脳死低血圧モデルを作成し、低血圧がラット肝に及ぼす影響を検討した。
ラット硬膜外腔にバルーンカテーテルを挿入、それを膨張させ脳死とした脳死群と、脳死30分後よりUTI(10万単位/kg/h)を投与したUTI群、バルーンを膨らませないシャム群、ネンブタール持続投与により低血圧維持した低血圧群にわけた。
(1)血行動態:平均動脈圧は脳死群、UTI群、低血圧群ともにシャム群に比べ脳死後約40-50%有意に減少し6時間にわたり同様の値で推移した。肝組織血流量は脳死群、UTI群ともに脳死後約33%有意に減少したがUTI群ではその後徐々に増加し、脳死後6時間でほぼ前値に復した。シャム群、低血圧群に変化はなかった。心拍数は低血圧群で経時的に徐脈傾向にあり他の3群との有意差を認めた。(2)生化学検査;GOT、GPT値は脳死群で他の3群に比べ有意に増加した。血清CINCは脳死群でシャム群、UTI群、低血圧群に比べそれぞれ4.4倍、1.4倍、3.4倍と有意に増加した。(3)組織学的検討;肝組織内好中球数(個/視野)は脳死群(32.1平均)はシャム群、UTI群、低血圧群より有意に増加した。ICAM-1の染色性はシャム群で類洞内皮に陽性であったが脳死群でより強く陽性化した。CINCはシャム群では陰性であったが脳死群で陽性細胞が類洞に多数みられた。UTIはいずれの変化をも軽減させた。低血圧群では変化は軽度であった。これらの結果より、ラット脳死により惹起された肝血流低下、肝類洞内集積好中球や接着分子やケモカインの発現などの微小血管反応は全身血圧低下に伴うものでなく脳死によるものであると示唆された。またUTI脳死後投与は肝障害や肝微小血管反応を軽減させ脳死ドナー肝のpreconditioningとしての有用性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] K.Itabashi: "Protective Effects of Urinary Trypsin Inhibitor (UTI) on Hepatic Microvasculature in Hypotensine Brain-Dead Rats"European Surgical Research. 34. 330-338 (2002)

  • [文献書誌] K.Itabashi: "Protective Effects of Urinary Trypsin Inhibitor on Hepatic Microvascalar Injury in Hypotensine Brain-Dead Rats"Transplantation Proceedings. 35. 114-116 (2003)

  • [文献書誌] T.Takahashi: "Urinary Trypsin Inhibitor Exerts Protective Effects on the Hepatic Microvascalature in Hypotensive Brain-Dead Rats"Proceedings of 37^<th> Congress of the European Society for Surgical Research. 257-260 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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