研究概要 |
1)実験動物:体重20〜25kgの同腹ブタをドナーおよびレシピエントとして使用した。 2)ドナー手術:ドナーは臨床における死戦期に近似させるため、全身麻酔下にroom airの呼吸器管理のもと、脱血による低血圧(収縮気圧60mmHg)を1時間維持した後に呼吸器を停止し、心停止を待ち肝臓を摘出した。以下3群に分けて比較検討した。 I群(Control群):心停止後、右外腸骨動脈より大動脈内に留置したカテーテルから直ちに4℃ラクテートリンゲル液を30ml/min/kgの流量で注入し、30分間の死体内冷却を行った後、肝臓を摘出した。 II群(低体温群):あらかじめ大動脈内にダブルバルーンカテーテルを、大静脈内に胸腔内留置用カテーテルを留置市、両カテーテルをpercutaneous cardio pulmonary suport(PCPS:デルフィン^<TM>テルモ社)に接続し、低血圧負荷期より流量30ml/min/kgで34℃の低温化を行う。心停止後は両カテーテルのバルーンをそれぞれ膨らませた後回路内の血液を4℃ラクテートリンゲル液に置換し、30分間の死体内冷却を行った後、肝臓を摘出した。 III群(低体温群+酸素化群):上記II群のPCPS回路に人工肺を加え、酸素化行った。 3)レシピエント手術:ドナーと同様の麻酔下にレシピエントは、左外頸静脈,左外腸骨静脈,脾静脈にチューブを挿入し、Bio-PumpTM(Bio-Medicus社)を用いた体外循環のもと自己肝を摘出し、同所性全肝移植を行った。 4)検査項目:各群n=5とし、それぞれ移植前,再灌流後30分,6時間後,12時間後,24時間後,48時間後に採血を行い、AST,ALT,LDH,ヒアルロン酸,D-Bil/T-Bil比,動脈血ケトン体比,IL-1を測定した。ドナーより摘出時と保存終了時の肝組織をサンプリングし肝組織ATP量を測定し比較検討した。それぞれ肝移植後1時間目に肝生検し光顕,電顕像を比較検討した。現在以上の項目について研究成果をまとめている。
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