研究概要 |
申請者らは1999年肝細胞に特異的に発現している有機アニオントランスポーター、LST-1遺伝子を世界で初めて単離し発表した(J Blol.Chem.274:17159-63,1999)。このLST-1遺伝子がコードしているLST-1蛋白質は、肝類洞側に存在し、肝細胞への胆汁酸、薬物、ホルモンなどの取込みに関与する極めて重要トランスポーターであることが明らかとなった。本研究では、ヒトLST-1遺伝子の発現調節機構を解明することを目的とする。平成12年度の成果に引き続き、平成13年度には以下が明らかとなった。 1.肝臓由来細胞株HT17細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより、上流域、約-1100bpに存在するAP-1結合配列および、-60bpに存在するHNF1結合領域が転写に重要と考えられた。 2.上流域-60bpのHNF-1結合領域に点突然変異を挿入したレポータープラスミドではルシフェラーゼ活性は著明に低下した。一方、AP-1結合配列に点突然変異を挿入したプラスミドではルシフェラーゼ活性は低下しなかった。 3.上流域-73から-48bpのプライマーをプローブとしてHT17細胞より抽出した核抽出液を用いたelectrophoresis mobility shift assay (EMSA)を施行したところ、配列特異的なシフトバンドが検出された。 4.このシフトしたバンドにHNF-1a抗体を添加することによりさらに移動度が変化したsuper shiftが確認されたことより、この配列にはHNF-1aが結合しているものと考えられた。 以上の結果より、ヒトLST-1の肝臓における転写には、遺伝子上流域約60bpに存在するHNF-1モチーフに結合するHNF-laが重要であると考えられた。
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