研究概要 |
【目的】肝門部胆管癌における微小転移の有無を免疫組織学的手法を用いて観察し予後との関連を検討した. 【方法】組織学的に治癒切除(だだしem1を含む)が行なわれた肝門部胆管癌n0症例18例で、術後2年以上経過したものを対象とした.リンパ節のパラフィン包埋標本から40μm間隔の亜連続切片を作成しHE染色、抗サイトケラチン抗体(CAM5.2, Becton Dickinson社.US)を用いた免疫染色をおこなった.【結果】免疫染色では7/109個,4/18例に転移を認めた.転移部位は12h,12b1,12p1,8a,8pであった.転移巣の大きさは30〜1000μmで,30μm,70μm,130μmの大きさの転移巣は、HE染色による近接切片の観察では同じ転移巣を確認できなかった.HE染色で確認できた他の2例では最大割面から各々440〜880μm離れた割面に認めた.微小転移の4例はいずれも再発をきたしており、50%生存期間は13カ月、5生率25.0%であった.再発形式は局所断端再発が1例、腹膜播種2例、大動脈周囲リンパ節転移1例であった.また4例の分化度は中分化1例、低分化2例、未分化1例.深達度はss3例、se1例、神経周囲浸潤はpn0が1例、pn2が1例、pn3が2例であった.em1を含む肝門部胆管癌治癒切除例29例の従来法でのリンパ節転移の有無で生存率を比較(Kaplan-Meier法、Logrank test)すると、転移陽性例11例の5生率は18.2%で陰性例18例の5生率50.0%との有意差はなかった(p=0.07).これに対し微小転移症例を含めて比較すると、5生率はそれぞれ22.2%と56.1%となり、有意差を認めた(p=0.012).【結論】連続切片の作成と免疫染色による検索によりリンパ節転移の診断率が向上した.微小転移の有無は予後を反映した.
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