研究課題
本研究は、癌患者血清中の微量タンパクをELISA法にて検出することで、癌の悪性度を診断するものであり、(i)化学療法・放射線療法感受性の予測、(ii)再発の高危険群の選別、(iii)患者免疫能の評価、(iv)治療効果の判定を行うことを目的としている。従来の予備研究の成果より、食道癌の悪性度診断をするために血清マーカーとして、抗p53抗体、VEGF、PyNPase(PDECGF)、Endostatin、FasL、IL-10、IL-12、Midkine、ICTPについて検討する。すでに、200例以上の食道癌患者の血清を治療前後にわたり経時的に採取し保存しており、予後ならびに臨床病理学的因子との関係を検討した。解析結果は以下のごとくである。(1)食道癌患者における血清中p53抗体を検索し、その臨床病理学的意義について検討した。化学・放射線療法後治療前に治療に対する感受性の予測が治療前に可能であるか否かを検討する。化学療法単独、放射線療法単独、及び両者併用療法での感受性とp53抗体の存在との関係を検討する。(2)血管新生因子として血清VEGF値、PyNPase(PDECGF)値についても同様に免疫染色と比較検討する。治療経過・効果との比較検討を行う。(3)患者免疫能のマーカーとして血清FasL値、IAP値、IL-10、IL-12についても同様に検討した。以上のデータについて単変量解析、多変量解析を行い、独立した予後因子となるか否かを検討中である。今後、複数の因子を組み合わせることによって、より鋭敏なマーカーになりうる組み合わせを考案する予定である。最終的には、各マーカー別のスコア表を作成して、総合スコアによりTNM分類を補完する指標を提唱したい。
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