研究概要 |
研究初年度である本年はDPC4/Smad4遺伝子発現アデノウイルスベクター作成を中心課題として検討した。1996年、DPC4(Deleted in Pancreas Carcinoma, Locus4)遺伝子を単離したジョンズホプキンス大学S.E.Kern博士より、DPC4/Smad4,cDNA遺伝子(pDPC4-wt3,4.4 kb)の提供を受け、E.Coliを用い,pBluescript II SK(+)phagemidの形で遺伝子を複製した。それをBamH1(Start codonより10塩基)EcoR1(Stop codonより18塩基)で切断しDPC4/Smad4 cDNA(1660bp)を回収した。さらに東京大学医科研、斎藤泉先生より御供与いただいたアデノウイルス発現ベクター作成用コスミッドDNAにDPC4/Smad4,cDNA遺伝子を逆向きに組み込む作業を、In-vitro Packageにより行っている。これが完成されれば直ちにEco T22Iにて切断された親アデノウイルスと293細胞にco-transfectし、組換えウイルスを分離しDPC4/Smad4発現アデノウイルスベクターを作製する予定である。次年度はまず細胞培養系による検討(In vitro)としてDPC4/Smad4のhomozygous deletionが確認された膵癌培養細胞株;HS766T,Capan-1に対し、アデノウイルスベクターによりDPC4/Smad4遺伝子導入を行い、これよりmRNA、タンパクを抽出し、Northern, Western Blot Hybridizationを行い、実際にDPC4/Smad4のmRNA,タンパク発現が見られるか否かを検討したい。
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