平成12年度に整備調整を行ったLaser-captured microdissection (LCM) システムを用いて、スライドガラス状にパラフィン包埋切片を伸展しHE染色後ethylene vinyl acetate film (EVA)を切片上に伸展し、micro-dissectionsし微量の検体からDNAまたはRNAを抽出する技術を確立した。 胃癌では組織型が不均なため均一な組織型を呈する大腸癌において検討を行った。 1)大腸癌組織におけるLCM法を用いたthymidylate synthase(TS)遺伝子のmRNAレベルでの発現と5-FUに対する抗腫瘍効果:米国で行われた5-FU+オキザリプラチンの臨床第II相試験に登録された臨床検体を用いて、パラフィン切片よりLCMの技術を用いて癌組織のみにおけるTS発現を検討したところ、高TS発現症例では低発現症例に比較して、奏効率が低く生存期間は短縮していた。 2)大腸癌組織におけるLCM法を用いた検体よりDNAを抽出し、thymidylate synthase(TS)遺伝子プロモーター領域の遺伝子多型のtandem repeat(TR)を検討した。本邦ではまだ報告のない5repeat症例が認められ、さらに2R/2R 5%、2R/3R 30%、3R/3R 65%の頻度であり、欧米における遺伝子多型と異なることが確認された。 3)さらには、大腸癌原発巣・肝転移巣・リンパ節転移巣・肺転移巣にこのLCMの技術を応用したところ、原発巣と転移巣においてTSmRNA発現のレベルは異なっていた。 来年度は同様の検討を胃癌を対象として行う予定である。
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