Laser captured micro-dissection(LCM)システムを用いて、スライドガラス上にパラフィン包埋切片を伸展し、顕微鏡観察下にレーザーマイクロダイセクションした微量の検体からRNAを抽出する技術を確立した。昨年度は、組織型が均一な大腸癌における検討が中心であったが、本年度は実施計画通り、組織型が多様な胃癌において検討を進めることができた。 1)フッ化ピリミジン系抗癌剤の効果規定因子のdihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)とthymidylate synthase(TS)の胃癌における発現:外科切除材料の原発巣の分化型、未分化型腺癌の部位をLCMしてDPD・TS遺伝子に関してmRNAレベルでの発現を検討した。TS遺伝子は分化型癌で未分化型癌に比較して有意に高値であり、逆に、DPD遺伝子では未分化型癌で分化型癌に比較して有意に高値であった。しかし、間質におけるこれらの遺伝子発現は組織型で差を認めなかった。(投稿準備中) 2)胃癌化学療法におけるDPD・TS遺伝子発現の意義:胃癌化学療法をおこなった症例を対象として、治療効果とDPD・TS遺伝子発現の意義につき検討した。TS-1投与した症例では、DPD遺伝子発現により治療効果に差認めなかったが、TS遺伝子発現に関しては奏効例に比較して非奏効例ではTS遺伝子発現が有意に高値であった。しかし、TS-1/CPT-11による化学療法を行った症例ではTS遺伝子高発現症例にも奏効例を認め多剤併用療法治療効果が確認出来た。(投稿準備中)
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