研究概要 |
大腸癌において染色体20qにおける遺伝子発現異常は発癌,増殖と密接な関係があると推測されている。本研究では20q13に位置し,serine-threonine kinaseをコードするAurora2遺伝子の異常発現をヒト大腸癌症例において検討、また当科において作製した抗Aurora2モノクローナル抗体を用いてAurora2蛋白質の機構解析も検討し、いくつかの知見が得られた。 (1)当科において切除手術の施行した大腸癌症例130例について大腸癌組織および正常大腸粘膜よりRNAを抽出後、RT-PCR法にて発現量を検討したところ、大腸正常粘膜と比較して原発性大腸癌組織において130例中73例(56%)にAurora2 mRNAの発現増加がみられた。 (2)Aurora2遺伝子を強発現させたCOS7細胞株を用いて当科で作製した抗Aurora2モノクローナル抗体にてAurora2蛋白質の局在を確認すると中心体および紡錘体極であった。 (3)Aurora2蛋白の発現について検討したところ、Aurora2蛋白質は細胞周期G2/M期において特異的に発現し、その後は急速に分解されることが認められた。 以上から、大腸癌においてAurora2遺伝子は細胞周期の制御に重要な因子であることが推測された。現在、詳細に検討中である。
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