研究概要 |
本研究ではC3H/He(C3H)マウスリンパ節より樹立したクローンを用いて細胞障害性T細胞であるTCRVβ14陽性CD8+T細胞が、in vitro、in vivoにおいていかなる機能を有しているかを解析した。 1.^<51>Cr遊離試験;TCRVβ14陽性CD8^+T細胞クローン(以下クローン)のTNBS修飾C3Hマウス脾細胞に対する特異的な細胞傷害活性は十分に検出された。抗TCRVβ14抗体の投与によってこの細胞障害活性は抑制された。 以上を我々は平成12年度までに行い、平成13年度は、 2.ELISA法:抗CD3ε抗体或いはTNBS修飾脾細胞の刺激下においてクローンは,IFNγを産生していた。IL-2,IL-4の産生は認めなかった。 3.細胞移入実験:C3HマウスにTNBSを注腸した後、クローンを細胞移入した。細胞移入後の病理学的所見(H.E.染色、TUNEL法)を検討した。低容量TNBSを注腸投与した細胞移入非施行群マウスは、ほぼ正常の病理像を呈したのに対し、細胞移入群は炎症、細胞浸潤を伴う病理学的腸炎所見、及びTUNEL陽性細胞の増加を認めた。 以上の知見よりTNBS誘導性腸炎マウス粘膜固有層内で増殖するCD8+TCRVβ14陽性T細胞は,in vitroでkiller活性を有しIFNγを産生するTc1と考えられ、腸管局所においても少量のTNBSに反応し腸炎を誘導し得ることを確認した。今後は抗TCRVβ14抗体のin vivo投与を行い、その治療効果を検討していくものである。
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