研究課題/領域番号 |
12671223
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢野 雅彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70273646)
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研究分担者 |
有吉 秀男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60294055)
藤原 義之 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40314330)
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キーワード | CDC25B / 食道癌 / 放射線照射 / 細胞周期 / チェックポイント / G2 / M期停止 / アポトーシス / p53 |
研究概要 |
臨床症例でCDC25Bの発現は放射線治療の効果と強く相関した(平成12年度に報告)ので、これを実際に検証するために食道癌細胞にCDC25Bを遺伝子導入し放射線感受性を調べた。食道癌細胞株TE-8にMMTV promotor下にCDC25Blを付けてLipofectionし、ステロイド依存性にCDC25Bを発現させた。CDC25B株とvector controlは放射線非照射時には細胞増殖、細胞周期、アポトーシスに差を認めなかった。TE-8は変異型p53を有するので放射線照射にてG1期停止は起こさないが、,強いG2M期停止を起こしそれに続いてアポトーシスが誘導される。CDC25B株はvector controlに比べてG2M期停止を起こしにくく、アポトーシスが多かった。このとき細胞周期調節分子の発現をみると放射線照射によりCDC25Bは分解が亢進し急速に蛋白量が減少した。CDC25B株はもともとのCDC25Bの発現量が多いため、放射線照射後も比較的高いCDC25B蛋白量を保っていた。CDC25BはCDC2を脱リン酸化するので放射線照射後はvector controlでは急速にCDC2のリン酸化が蓄積しCDC2は失活していたが、CDC25B株ではリン酸化は蓄積せずCDC2の活性も保たれていた。 この実験においてCDC2の活性が回復したあともG2M期が遷延することが観察され、CDC25B以外の要因も関係することが想像された。免疫染色と蛋白分画で検討するとCDC2-cyclin Bの複合体の核への移行が遅れていた。このことより核移行システムの阻害によりCDC2活性があるのにG2M期が進行しない可能性が示唆された。現在、核外輸送シグナルの分子であるレプトマイシンの効果を検討している。
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