研究課題/領域番号 |
12671227
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松原 長秀 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (70314672)
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研究分担者 |
清水 憲二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10037286)
田中 紀章 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10127566)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | E2F-4 / polymorphism / choemoterapy / drug sensitivity |
研究概要 |
発癌の過程で、いわゆるcare taker遺伝子であるミスマッチ修復(MMR)遺伝子の異常に引き続いて、直接細胞の癌化に関与する種々のgate keeper遺伝子の異常が蓄積することとなる。これまで見つかったgate keeper遺伝子異常にはTGFbRII、BAX、IGFIIR、E2F-4等がある。BAXの発現程度が違うと白血病細胞等で抗癌剤感受性が異なるとの報告はある。しかし、MMR以上に基づく発癌経路でこれまで見つかってきたgata keeper遺伝子変異は、全て遺伝子コード領域のmicrosatelliteの異常であり、これらの異常と抗癌剤耐性に関連した報告は無い。我々が見つけたE2F-4遺伝子について、見つかった異常がどう癌化に関連するか、その機能を検討した。 [材料と方法] pCDL81ベクターのsRa promoterの下流にE2F-4のwildタイプ(E2F4wt : CAG13回)、CAG繰り返し数がそれぞれ12回(E2F-4mut-1)、14回(E2F4mut+1)、6回(E2F4mut-7)のmutantタイプのE2F-4のcDNAを組み込んだ,これら発現ベクターを、NIH3T3細胞に導入し、stableなtransfectantを確立した。これらの細胞株に種々の抗癌剤を接触させ、MTTアッセイでviabilityを測定した。 [結果] 癌で見つかった変異型E2F-4を導入した種々の細胞株では、CDDP、VP-16に対する感受性がwild type E2F-4発現細胞と比較して異なっていた。図に示すようにmutant細胞ではwild typeの細胞に比較してVP-16に対する薬剤感受性の低下を示した。一方CBDCAに対しては、全てのmutant細胞株でwild typeの細胞に比較して感受性の増加を示した。 [考察] 大腸癌において、MMR機能異常に基づく発癌は、固有の臨床分子病理的特徴を有する独立した発癌形態と考えられるようになった。従って、診断・治療においても、その特徴をふまえた選択が考慮される状況が生まれてきた。MMR系が特定の抗癌剤による細胞致死効果に深く関与することが明らかになってきたが、さらにMMR系だけでなく、MMRの標的遺伝子変異によっても抗癌剤感受性がかわってくる可能性があり、E2F-4の変異による感受性変化の知見が得られた。今後は、これらの新しい知見を踏まえた上で、適切なcase control studyがなされ、臨床に応用されていく必要があると考えられた。
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