研究課題/領域番号 |
12671230
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡 正朗 山口大学, 医学部, 教授 (70144946)
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研究分担者 |
硲 彰一 山口大学, 医学部, 助手 (50253159)
前田 義隆 山口大学, 医学部, 助手 (30291488)
西田 峰勝 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (80243666)
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キーワード | 肝細胞癌 / nm23-H1遺伝子 / テロメラーゼ活性 / 免疫組織染色 / RT-PCR / 化学療法 |
研究概要 |
われわれは、癌細胞にnm23-H1遺伝子のantisenseを導入し、CDDPに対する感受性について検討した。同antisenseを導入することにより、nm23-H1mRNA発現低下をRT-PCRによって確認した。さらにnm23-H1蛋白の発現の低下をflow cytometryにより確認した。CDDPの感受性はnm23-H1遺伝子のantisenseを導入した細胞において著しく低下した。また、ouabain添加実験により、nm23-H1遺伝子発現が低下すると、Na+,K+-ATPase活性の低下することが観察された。すなわち、Na+,K+-ATPase活性はCDDPの細胞内蓄積に関与しており、nm23-H1発現が低下すると同活性も低下してCDDPの蓄積が阻害され、感受性が低下することが判明した。さらに、このCDDP耐性機序は、細胞核およびミトコンドリアの障害が防止されていることによることも確認している。以上より、nm23-H1はCDDPの感受性に深く関与していることが証明された。現在、ヌードマウスを使用して、γ-リノレン酸リチウム塩を経口投与し、NM23-H1発現を検討している。 臨床では、肝細胞癌の切除例40例の切除標本を用い、癌部および非癌部のテロメラーゼ活性を測定した。その結果、1年以内の再発は、非癌部でテロメラーゼ活性が認められる症例は全て1年以内に再発を認めた。一方、癌部でのテロメラーゼ活性と再発の間には相関を認めなかった。以上より、肝細胞癌切除後の再発予知マーカーとして非癌部テロメラーゼ活性が有用であることが判明した。この結果から、術後の肝動注化学療法の適応患者が選択される。また、現在、免疫組織染色にてNM23-H1発現を判定し、化学療法の効果との関係を検討中である。
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