研究課題/領域番号 |
12671231
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
能城 浩和 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90301340)
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研究分担者 |
内山 明彦 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (20294936)
森崎 隆 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (90291517)
片野 光男 九州大学, 医学部・附属病院, 教授 (10145203)
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キーワード | 胃癌 / 腫瘍増殖関連遺子 / 腫瘍マーカー / 食道癌 |
研究概要 |
【平成13年度の目的】平成12年度に胃癌における癌関連遺伝子カルテが早期胃癌に対して縮小手術を適応とする判断資料に成りうるかの研究では否定的な結果が得られたので、平成13年度は当初の計画の中で腫瘍関連遺伝子プロフィールに関して次の2点に集中することとした。(1)腫瘍関連遺伝子プロフィールとその他予後規定因子との相関、(2)他癌に対しての適応を検討するとして食道癌における腫瘍関連遺伝子プロフィール作成と術後病理組織検査との相関を調べた。【方法】腫瘍関連遺伝子PDGFA、TGF betaおよびMMP2の測定を胃癌47例に行い、主病巣の壁深達度、リンパ節転移の有無、腫瘍マーカーCEAおよびCA19-9との相関を検討した。また食道癌患者5例より得られた術前生検材料で上記3因子に加え、uPA、PAI-1およびVEGFの計6因子を測定し病理学的壁深達度とリンパ節転移の有無、腫瘍マーカーCEAおよびSCCとの相関を検討した。【結果】胃癌における腫瘍関連遺伝子プロフィールは平成12年度の報告通り腫瘍深達度、リンパ節転移に関しては有意な相関を見いだすことはなかった。しかしMMP2に関しては術前推定深達度の過少評価分を補う可能性が認められた。腫瘍マーカーとの相関もCEAとCA19-9に関しては有意な相関は見られないが、腫瘍関連遺伝子プロフィールがすべて陰性であるものに腫瘍マーカー陽性例は認めなかった。食道癌に関しては6因子のうち3因子以上が陽性例は腫瘍深達度T3(外膜浸潤あり)であり、陽性が2因子以下の4例はすべてTlb(表在癌)であった。今回の5例ではリンパ節転移例は無かったが、同時にVEGFがすべて陰性であった。腫瘍マーカーは有意な相関は認めなかった。【考察と今後の展望】胃癌では腫瘍関連遺伝子の1因子では結論に至らぬ事でも複数因子の集積いわゆる遺伝子カルテでは統計学的有意差に至らぬとも既存の術前検査を補うことができ、その集積は患者の治療法の決定や予後に関しての情報を提供しうると思われる。今後の展望として食道癌でも同様の検討を行ったが、悪性度が高い食道癌の法がより明確な結果を出る可能性が示唆され、研究を続けたい。
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