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2001 年度 実績報告書

肝予備能把握法の確立と肝切除後残存肝機能の転写因子を含めた分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 12671235
研究機関九州大学

研究代表者

千々岩 一男  九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90179945)

研究分担者 中野 賢二  九州大学, 医学部・付属病院, 助手 (00315061)
山口 幸二  九州大学, 医学部・付属病院, 講師 (50191226)
黒木 祥司  九州大学, 医学部・付属病院, 講師 (30215090)
高松 祐治  九州大学, 医学部・付属病院, 医員(臨床)
上田 純二  九州大学, 医学部・付属病院, 医員(臨床)
キーワード閉塞性黄疸 / 肝硬変 / サイクリンE / 増殖因子 / MAPキナーゼ / 転写因子C / EBP / 転写因子AP-1 / 肝切除
研究概要

本年度は研究計画にのっとり以下の3点を中心に研究してきた。
1)閉塞性黄疸における肝再生能の分子生物学的検討
閉塞性黄疸肝に70%肝切除を行い、術後のサイトカイン・増殖因子の発現、転写因子NF・kappa B, STAT3, AP-1の活性化を対照群と比較したが、障害は認めなかった。術後24時間後のDNA合成能は閉塞性黄疸肝が対照群に比較して有意に低値であったが、細胞周期G1期のサイクリンD1の発現とサイクリンD1依存性キナーゼ活性に差を認めなかった。一方、G1/S期からS期にかけてサイクリンEの発現およびサイクリンE依存性キナーゼ活性は有意に黄疸群で低下し、その要因として転写因子C/EBPの活性化障害が考えられた。上記の閉塞性黄疸肝の再生能低下の分子生物学的機序を論文にまとめ報告した(参照:論文1)。
2)減黄法による肝再生能の相違:術前胆汁外瘻と内瘻
術前減黄法の違いによって閉塞性黄疸肝切除後の肝再生能や肝予備能が異なることを報告した(参照:論文6)。その機序解明ために今回、正常肝において胆汁外瘻と内瘻を1週間作製後70%肝切除と胆汁内瘻化を行い、肝のDNA合成能、細胞周期制御蛋白の発現や活性を両群間で比較した。術前の肝機能に有意差がないにもかかわらず術後24時間のDNA合成能は有意に外瘻群が内瘻群に比較して低下していた。細胞周期G1期におけるサイクリンD1の発現およびサイクリンD1依存性キナーゼ活性は差を認めなかったが、G1/S期からS期にサイクリンE依存性キナーゼ活性は有意に外瘻群で障害されていた。術前胆汁が腸管内に存在することが肝再生および細胞周期の制御に重要な役割を果たしていることがわかり、その機序を検討している。
3)硬変肝における再生能と肝予備能に関する検討
肝硬変ラットに70%肝切除を行い、肝のDNA合成能、増殖因子HGF・TGF-alphaやその受容体の発現およびその下流の増殖シグナルに関与するMAPキナーゼと転写因子AP-1の活性を対照群と比較した。増殖因子および受容体の発現、MAPキナーゼ活性に差を認めなかったが、硬変肝の24時間後DNA合成能は対照群に比較して有意に低下していた。一方、硬変肝において転写因子AP-1の活性化は術後12、18時間で有意に障害されていた。転写因子レベルの障害は硬変肝の再生能低下の要因である可能性が明らかにされつつある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nakano K, Chijiiwa K, Tanaka M.: "Lower activity of CCAAT/ enhancer-binding protein and expression of cyclin E, but not cyclin D1, activating protein-1 and p21 WAF1, after partial hepatectomy in obstructive jaundice"Biochemical Biophysical Research Communications. 280. 640-645 (2001)

  • [文献書誌] Nakano K, Todo T, Chijiiwa K, Tanaka M: "Therapeutic efficacy of G207, a conditionally replicating herpes simplex virus type 1 mutant, for gallbladder carcinoma in immunocompetent hamsters"Molecular Therapy. 3・4. 431-437 (2001)

  • [文献書誌] Chihiiwa K, et al.: "Biliray indocyanine green excretion as a predictor of hepatic adenosine triphosphate levels in patients with obstructive jaundice"American Jounal of Surgery. 179・2. 161-166 (2000)

  • [文献書誌] Chijiiwa K, et al.: "Effect of preoperative portal vein embolization on liver volume and hepatic energy status of the nonembolized liver lobe in humans"European Surgical Research. 32・2. 94-99 (2000)

  • [文献書誌] Watanabe M, Chijiiwa K, et al.: "Gadolinium pretreatment decreases survival and impairs liver regeneration after partial hepatectomy under ischemia / reperfusion in rats"Surgery. 127. 456-463 (2000)

  • [文献書誌] Saiki S, Chihiiwa K et al.: "Preoperative internal biliary drainage is superior to external biliary darinage in liver regeneration and function after hepatectomy in obstructive jaundice"Annals of Surgery. 230・5. 655-662 (1999)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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