研究概要 |
(A)P-selectin遺伝子 SUIT-2由来のsublineでのP-selectin発現をnorthern blot analysisで検討するとSUIT-2,S2-007,S2-013で強く発現し、S2-028で発現していることがわかったが、高感度のpolymerase chain reaction(PCR)で検討すると、すべての他のsublineおいてもわずかながら発現が確認された。ところで、P-selectin発現はthrombin刺激で誘導されることがわかっていた。しかしthrombin刺激からP-selectin発現までの経路は不明であった。今回、SUIT-2およびsublineではthrombin receptorであるFactor II receptor(proteinase activated receptor 1(PAR1))を有することを確認した。すなわちthrombin刺激からP-selectin発現までの経路のstartが確認された。現在この経路の解明中である。 (B)AG09B1遺伝子 現在ようやくAG09B1遺伝子から推定される蛋白の一次構造から推定したペプチドに対する抗体ができつつあるところである。その後この遺伝子はTONDU遺伝子(Vaudin,P.et al.Development126:4807-4816,1999)とほぼ同一であることが判明した、彼らはこの遺伝子がショウジョウバエの羽根の形成に重要であることを報告したが、ヒトにおける役割はまったく不明である。一方、ヒト癌組織においてその発現PCRによってみると、乳癌、膵癌および食道癌で発現が確認されたが、胃癌、大腸癌および肺癌ではその発現を見なかった。 (C)その他、 新しい膵癌培養細胞株(SUIT-4)の樹立に成功し、その性格の検討がほぼ終了した。 また、SUIT-2よりin vivoクローニングにより100%転移する細胞株の樹立もほぼ終了した。
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