(A)P-selectin遺伝子関連 平成12年度までの研究で、SIUT-2由来のすべてのsublineは程度の差があるもののP-selectinを発現していることを確認した。同時にthrombin刺激からP-selectin発現までの経路のstartと考えられるthrombin receptorであるFactor II receptor (proteinase activated receptor 1 (PAR1))を有することを確認した。今年度は、PAR1はSUIT-2以外に検討した他の7つの膵癌細胞株すべてで発現していることも確認した。一方、PAR2遺伝子の発現もPAR1と同様であったが、PAR3遺伝子の発現はさまざまであった。PAR4の発現は検討した膵癌細胞株では検出できなかった。また、PAR1のfull length cDNAをcDNAライブラリーからスクリーニングすることが出来た。これを使いthrombin刺激からP-selectin発現までの経路を明らかにしているところである。電子顕微鏡を使用した免疫組織化学的検討でP-selectinの細胞内局在はmultivesicular bodyであるということを明らかに出来た。 (B)AG09B1遺伝子 現在ようやくAG09B1遺伝子から推定される蛋白の一次構造から推定したペプチドに対する抗体作製はいまだ完成を見るにいたっていない。 (c)転移能を有する膵癌培養細胞株の樹立 新しい膵癌培養細胞株(SUIT-4)の樹立とその性格の検討が終了した。また、SUIT-2よりin vivoクローニングにより100%転移する細胞株の樹立も終了した。これらの高転移株ではmatrix metalloprotcinase (MMP)活性が極めて高く、また多くの種類のMMPを発現していることを確認し、論文発表した。
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